ポリフェノール、抗酸化力が非常に高い
「ヘルシア緑茶」や「黒烏龍茶」が堅調に売り上げを伸ばし、含有成分の「カテキン」というポリフェノールが一般的に知られるようになっている。これらはトクホ商品として知られ人気を博すが、一方で数年前の健康情報番組の「やらせ問題」や「エコナ問題」で、健食業界に逆風が吹いている。
多くの消費者は「その成分が本当に効くのか?」「どんなメカニズムなのか?」と疑問を持ち、健康食品からから離れてしまった人も少なくない。しかし食の研究を進める立場としては、食品に機能性成分が含まれているのは確かであり、それを何らかの形で人々の健康に還元させていきたい、と越坂部氏。
越坂部氏は、ポリフェノールの健康維持増進作用の解明で、チョコレートやココア、リンゴなどのポリフェノールを中心に研究を進めている。
ポリフェノールとはフェノール性水酸基のことで、これが含まれるもの全てがポリフェノール類と総称されている。よく知られるものではアントシアニン、フラボノール、イソフラボン、カテキンなどがある。
輪ゴムなども放置しておくと切れるのは、酸化による劣化が原因だが、ポリフェノールは酸化を抑制する効果(抗酸化)が非常に高く、食品以外でも役立っている。
近年、ポリフェノールを含む植物性油脂がタイヤなどのゴム製品に使用され、ゴムの経年劣化の予防に役立っていると越坂部氏。
食品に含まれるポリフェノールはフラボノイドという形で、ほとんどの植物に入っている。これは植物が日光の紫外線から自らを守るためと考えらえている。食品では、赤ワイン、アメリカンチェリー、チョコレート、緑茶(お茶)などに多く含まれる。特にチョコレートはポリフェノールが豊富に含まれる。
ポリフェノール摂取が多い人ほど心血管系疾患のリスクが低下
日本人の死因に関する調査結果を分析すると、戦前は感染症(肺炎、結核など)が圧倒的であったが、1945年以降はがんや血管疾患が60%を占めるようになった。そのうち、がんは30%、心疾患と脳血管疾患を併せた心血管系疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)は25%と報告されている。
ポリフェノールが実際に人体に有効かどうか。前向きコホート研究は膨大な時間と資金、国家レベルの実験が必要で、日本で実施されたデータはなく、海外のものが日本で使用されている。これまでに明らかとなっているのは、ポリフェノールの摂取が多い人ほど、心血管系疾患のリスクが低いということである。ただ、がんには「おそらく効果がない」との判定がなされている。
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