患者をサポートするのも医師の役目
福田氏は10年程前から、西洋医学に限界を感じ統合医療へ方向転換、栄養や副交感神経の活性化などを重視し、全身の免疫機能を高めるよう患者を指導しているという。統合医療の現況について次のように述べた。
日本は西洋医療と東洋医療を統合させ、戦略的にアプローチすることが世界的にもかなり遅れている。アメリカでは、患者が代替医療を治療に取り入れたいというと、基本的にサポートに回らなければ、裁判で訴えられることも少なくない。患者が必要とするものをサポートするのも医師の役目である。
ストレスの多い生活はがんリスクを高める
また、飯塚氏は、がんのリスクを遺伝子検査で解析しているが、ストレスの多い生活ではがんリスクが高まる。生活全般を改善すると遺伝子の状態が良くなり、がんリスクも軽減すると述べた。
固形がんになるまで10年〜20年かかるが、遺伝子レベルでは行きつ戻りつし、「動的平衡」状態にある。がんのステージ4でも、治療だけでなく予防を継続することが大切であるという。
ペットという最新の医療機器で、がん細胞がアクティブかインアクティブかを認識できるが、がん細胞と共存することは可能であると飯塚氏は考えているという。
動的平衡状態のがん細胞にはホリスティックなアプローチが重要
がん細胞を消失させようとすると、手術や抗がん剤が必要で、身体への負担も大きく、必ずしも良い影響ももたらすわけではない。幹細胞の知識も含めて、抗がん剤で治療できるがん細胞や症状は実際のところとても少ないという現実を、医師も患者も認識すべきだと4人がそれぞれ論じた。
また、米ぬかアラビノキシランにより免疫改善効果の症例は多く報告されているが、一番多いのは抗がん剤の副作用が軽減したこと、と4人の意見がそろった。
本来のがん治療とは、がんだけをターゲットにするのではなく、動的平衡の状態で変化しながら生き続ける細胞や遺伝子を、より良い状態で保ち続けるためのホリスティックなアプローチが重要であるとの見解が示された。