美肌素材「ハトムギ」で地域活性へ
2011年9月27日(火)、東京ビックサイトで開催された「ダイエット&ビューティーフェア2011」セミナーで、「美と健康で地域活性」をテーマに、日本補完代替医療学会理事長の鈴木信孝氏がハトムギの機能性と産学連携の商品開発について講演した。

国産ハトムギを活用した高機能な健康・美容素材の研究開発とその応用について
日本補完代替医療学会理事長 鈴木 信孝

富山県氷見市で、「氷見ハトムギきれいプロジェクト」が進行

国内におけるハトムギの消費量は年間約6.476トン。そのうち8割はアジア諸国から輸入されており、自給率は極めて低い。

日本では、富山県氷見市で昭和60年にハトムギの本格的な栽培を再開し、JAと栽培農家、地域そして大学の研究が一体となりハトムギの栽培と商品化に向けた「氷見ハトムギきれいプロジェクト」が進めている。

氷見で採れたハトムギは、日本人の生活(QOL)を豊かにする大きな可能性を秘めており、健康・美容面でも大きな効果が期待できることが解明されつつあると鈴木氏。

「氷見ハトムギ茶」がヒット

氷見の地は半湿・粘着質の土地でハトムギの成長に適している。この地でのハトムギ生産は昭和60年代、当時コメ余りで転作の必要性に迫られたのがきっかけであった。 標高約160メートルの山間部に位置する生産農家の人々は、国内有数のハトムギ栽培の先進地である広島、岡山両県を視察し、地区全体での栽培をスタートさせた。

米政策改革の中で始まった試行錯誤のハトムギ生産であったが、農家経営安定化のために、主力作物としてハトムギの可能性に注目、多くの農家に声を掛けながら、栽培は徐々に拡大していったという。

今では全国生産量の約10%、133トンの生産を担う氷見のハトムギ。この生産の拡大につながった要因に「氷見ハトムギ茶」のヒットがあったと鈴木氏。平成18年からペットボトル入り飲料「氷見ハトムギ茶」の販売が開始され、平成21年には200万本を売り上げる大ヒット商品となった。

神農本草経に「体を軽くし、元気を益す"養命草"」と紹介

ハトムギは一年草の作物で、原産地はインドシナ半島と推定されている。その後、中国に伝わり、中国最古の薬草書「神農本草経」にも「体を軽くし、元気を益す"養命草"」と紹介されている。

ハトムギの美容効果は古くから知られ、宮廷料理の素材としても使われている。日本には江戸時代に中国より伝わり、味や香りの良さからお茶として利用されることがこの頃からあったようだ。

江戸時代の書物「大和本草」の中では「肌荒れや吹き出物は、ハトムギを煎じて飲むと効果がある」と記述されているという。さらにハトムギは丈夫な作物のため飢饉時の非常食の食料としても重用されていたことが知られている。

古くから消炎、利尿、鎮痛の生薬として利用

中国ではハトムギを「ヨクイニン」と呼び、古くから消炎、利尿、鎮痛への効果がある生薬として利用しているほか、化粧品の原料、医薬品の原料としても利用している。食品としても十分な栄養価があり、脂肪、たんぱく質、糖質がバランス良く含まれ、特にタンパク質の中のアミノ酸は他の穀物と比べて良質、ビタミンやミネラルの含有量も多い。

また、食物繊維も多く便秘の改善に役立ち、経口吸収、経皮吸収のいずれかからも美白効果や保湿効果が報告されている。そのメカニズムについては未解明だが、医学的な見地からエビデンスが多数集められ、今後の更なる有効活用が期待されていると鈴木氏はいう。


Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.