毎日5〜6000個ほどがん細胞ができる
免疫学の第一人者として知られる奥村氏は免疫力の差が人間の健康状態を大きく左右しているとし、以下のように解説した。
私たちをとりまく環境には、人間の健康を脅かすウイルスや細菌などの病原体が数多く存在する。
例えば、花粉やインフルエンザウイルスでなど同じ生活環境にあっても、花粉症になる人、風邪を引きやすい人がいる。両者を分けているのがまさに免疫力の差である。
人の身体は60兆個の細胞から成り、1日におよそ1兆個が新しい細胞と置き換わっている。毎日新しく生まれ変わった細胞のうち、5〜6000個ほどはがん細胞であり、生きることはそもそもがんを生産することでもある。
ストレスが免疫力を低下させる
毎日増殖するがん細胞をいち早く攻撃して処理するのがNK細胞で、街の警察官のように体内をパトロールし、がん細胞やウイルス感染細細胞など不要なものを取り除いている。
しかし年齢とともにNK細胞の働きは衰え、ウイルス等の感染症にかかりやすくなり、がん細胞の増殖に繋がる。
こうした、身体に害を与える異物と戦い排除しようとする人体のしくみが免疫系と呼ばれる。この免疫系の力、つまり免疫力は加齢や栄養不足、高齢化、ストレスなどで低下するが、とくにストレスとの関わりが大きいと考えられている。
しかし現代社会に生きる私たちはストレスを断ち切る事は不可能で、せめて栄養の側面から免疫を高めるアプローチすることが必要不可欠である。
免疫力、ビタミンやミネラルは高めるが脂肪は抑える
免疫力を高めるには栄養価の高いタンパク質、ビタミンやミネラルの摂取が重要だが、一方で脂肪は免疫系を抑える方向で働くため、摂り過ぎは免疫の働きを弱めてしまうことになる。
またプロバイオテックスやプレバイオテックスなどは免疫調整機能があり、アレルギー発症の抑制効果なども報告され、重要性が認識されている。他には大量のビタミンCとベータグルカンも腸管免疫の活性に役立つ。
栄養からのアプローチは非常に重要だが、ストイックになりすぎてストレスになるようであれば逆効果という側面も併せ持つ。そのため、ストレスのないように楽しく生活することが一番の予防ではないかとまとめた。
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