日本は「機能性食品」の開発を世界に先駆けて行う
終戦、復興、そして高度成長期という時代の流れとともに、日本はかつて経験したことのない飽食の時代へ突入した。しかしその反動として、20世紀後半から「成人病」、現在「生活習慣病」と呼ばれる数々の疾病が社会問題となっていると阿部氏。
戦後は「栄養」と「嗜好(おいしさ)」が食品科学の二大潮流として展開したが、21世紀を目前にした頃に第三の潮流、つまり食品の三次機能である「食品の機能性」の研究が主流へとなっていった。
1988年頃から生活習慣病を食の改善で予防しようという大型研究が次々とスタートした。そこでは食品の機能が、栄養面、嗜好面だけでなく病気予防面から系統的に解析されるようになった。病気予防面の働きが付与された新食品である「機能性食品」の開発を日本は世界に先駆けて行い、世界に大きなインパクトを与えることになったと阿部氏。
食品には一次機能の「栄養」、二次機能の「おいしさ」、さらに三次機能の生理面(生体制御・防御)における「機能性」がある。食品の「機能性」については、生活習慣病のリスクを低減するという数々のデータが発表されており、食品メーカーは機能性食品の開発を次々と手がけ、厚生労働省は「特定保健用食品」として制度化し、国民にも十分浸透している。
2003年、ヨーロッパで機能性食品の効果を評価するニュートリゲノミクス誕生
現在、世界各国で機能性食品の研究開発が進められている。2003年にはヨーロッパで機能性食品の効果を評価するニュートリゲノミクスが立ち上がり、食のDNA診断ともいえる科学が世界各国に普及するようになったと阿部氏。
・
・