放射能問題、消費者の混乱が浮き彫りに
全国消費者団体連絡会(以下消団連)は、1956年の結成以来「消費者こそ経済繁栄の母であり、商業者繁栄の支柱。消費者大衆こそ主権者」というスローガンを掲げている。現在47団体が消費者のための地域づくりを目指し、さまざまな活動(行政への諸要請、情報共有の場づくり、商品の調査研究など)を行っている。
食品安全に関わる取組みも活動の一つで勉強会などを定期的に開催しているが、昨年は東日本大震災と原発事故に関わる「食の安全」が最大のテーマとなった。5月から7回にわたり「ホントのことを知りたい学習シリーズ」という情報発信・収集・意見交換会の場を主催した。
初回の5月、参加者からの質問事項をまとめると、「放射性物質の種類と影響は?」「基準値の決め方は?」「内部被ばくとは何か?」「乳幼児への影響は?」「検査方法は?」「減らす方法はないのか?」「水産物汚染はどうなっているのか?」などが挙がり、原発問題に直面した参加者(消費者)の混乱が浮き彫りになったという。
「むやみに恐れる必要がないことがわかった」の声
これまでほとんどの国民に原子力教育が欠けていたため、「原子力、放射能=知らないこと」「知らないこと=不安」という状態で、政府やメディアがいくら情報を発信しても「ベクレル」や「シーベルト」の意味も理解できず、消費者は不安を募らせるばかりであった。
しかし全国漁業協同組合連合会行政部長や水産庁の1954年ビキニ水爆実験以降のモニタリング検査などに関わってきた経験のある専門家などが講師となり、説明も丁寧で説得力があっためか、参加した消費者からは「不安が薄れた」「現状の安全性が理解できた」「むやみに恐れる必要がないことがわかった」など、やや安堵の感想が寄せられようになったと阿南氏。
メディアへの拭えない不信感
消費者庁のインターネット調査(平成23年5月30日〜6月5日)によると、原発事故以降出荷制限されている食品の品目や地域に関する情報については、主にテレビから情報を得ていると回答した人が最も多く全体の83.1%、次いでインターネットで66.2%、新聞や雑誌で62.5%という結果になった。
しかし信頼度については、テレビを信頼していると回答した人は18.2%、インターネットはわずか4.0%、新聞は39.2%とやや高めとなったが、それでも国民のメディアに対する不信感は拭えない状況と阿南氏。
国の対応に高い不信感
また、日本生協連の組合員アンケート調査(平成23年7月21日〜7月26日)によると、放射能汚染問題への国の対応についても「あまり信頼していない」が54.4%、「全く信頼していない」が27.3%と両者合わせて半数を大きく超え、「十分信頼している」が0.3%、「まあまあ信頼している」が12.1%と、国の対応への不信感が非常に高い数値を示している。
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