在宅診療では代替医療のほうがベスト
入谷氏はアガリスクなどの研究を行う傍ら、勤務先の病院で3年前からハーブ外来を行っている。それは入谷氏が在宅診療(訪問診療)を行うようになったことと深い関係がある。在宅の患者さんの場合、外出できないために医薬品を処方しても良くならないことが多い。
例えば腰痛の患者さんは寝たきりで、腰痛緩和には、医薬品を処方するよりも、マッサージや鍼灸・アロマテラピーといった代替医療を用いた方が効果的なことが多い。代替医療であれば看護師にもできることが多い。さらに在宅の患者さんを抱えて介護疲れしている家族もケアもできる。そのため入谷氏は代替医療を切り替えるようになったという。
患者にとって選択肢が増えることが重要
中でもハーブには大きな可能性を感じていると入谷氏。夜中に緊急で呼ばれ、何も持たずに診療に行かなければならない場合でも、だいたいどの家庭にもハーブやハーブ製品があり、緊急処置として代用できることが多い。患者さんや介護する家族にちょっとしたハーブの知識を身につけてもらえば、十分にセルフケアに役立つという。
世界の医療現場でも、一次医療として80%はハーブが使用されている。フランスやドイツの医師の70%は患者にハーブを処方している。日本でも実は医師の100%がハーブを使っていることが分かったという。例えば便秘薬、この成分はセンナというハーブである。
入谷氏は現代医療である、西洋医療を中心に据えているが、現代医療が100%ではないことを実感している。もちろん代替医療も100%ではなく、統合しても100%になるわけではないが、患者にとって選択肢が増えることが重要であり、代替医療の知識を増やすことは医師も患者の可能性を高められると断言する。
100%ではなく「めざせ!快適生活」を目標
入谷氏自身も喘息の持病を抱えている。吸入ステロイドは効果的ではあるが、疲労、天候、ストレス、睡眠不足、女性であれば妊娠や生理など、日常のちょっとしたことがきっかけで喘息の発作が起こり、症状が悪化する。
これらの「ちょっとしたきっかけ」という部分は、医薬品では対応できない西洋医学の弱点である。それが、病気ではないからだ。こうしたことにハーブは効果を発揮する。人によってはすごく効果があるが、効果が全くない人もいる。ただ、ひどくなる人はいない。100%ではなく「めざせ!快適生活」を目標に、できるだけ日常を快適に過ごすことが持病を悪化させず、完璧ではない医薬品に頼らず、症状を抑える秘訣であると入谷氏は説明する。
健康の維持増進、疾病の予防などの機能
実際にハーブを使う場合は、まず基礎を知る必要がある。「ハーブ=おしゃれな飲み物」というイメージが一般的のようであるが、「生活に役立つ香りのある植物」というのが本来の定義であり、コーヒー、紅茶、サラダなどもハーブになる。「どんなハーブがいいですか?」と聞かれることも多いそうだが、特定の疾病や疾患がなく健康であるのなら、サラダを食べれば十分だと入谷氏。
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