オメガ3系脂肪酸、「リン脂質型」に優れた作用
セミナーでは同社の担当者がクリルオイルの有用性について以下のように解説した。
南極海域に生息するオキアミ(形態がエビに似ている甲殻類の生物)から抽出される食用油クリルオイルが、今非常に注目を集めている。クリルオイルはアンチエイジング効果が高いアスタキサンチン(カロテノイドの一種で抗酸化成分)とオメガ3系不飽和脂肪酸を40%以上もリン脂質として含有している。
オメガ3系不飽和脂肪酸のなかでも「リン脂質型EPA・DHA」は、精製された単品のEPA・DHAよりも体内での吸収と生理作用に優れ、細胞膜を構成しているリン脂質としてすみやかに構成されるという利点を持つ。
これまではオメガ3系脂肪酸そのものの健康効果が注目を集めてきたが、一般的な脂肪に溜め込まれる「トリグリセリド型」ではなく「リン脂質型」であるということが非常に重要であることが近年判明している。
深海性魚類やクジラなどが極めて厳しい低温環境に生息しているにも関わらず細胞膜や血液の流動性・柔軟性が保たれているのも、オメガ3系不飽和脂肪酸の摂取が多いからだけでなく、リン脂質型のオメガ3系不飽和脂肪酸を多量に摂取しているからではないか、という研究もある。
リン脂質型オメガ3系脂肪酸、小腸経由で速やかに吸収
またグリーンランドのイヌイットやアラスカのエスキモーが、かなりの高脂肪食を摂取しているにも関わらず、彼らが日常的に摂取している食品には「リン脂質型」のオメガ3系不飽和脂肪酸が多量に含まれるため、循環器疾患にかかる割合が極めて低いという疫学調査もある。
もちろん精製された単品のEPA・DHAの機能性も十分に優れている。そのため国内では1990年に「閉寒性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛、冷感の改善」、1994年には「高脂血症」の治療薬としてEPAが認可されている。また、米国でもEPA・DHAが「高脂血症」の治療薬として認可され、EUでも「Novel Food」(食品添加物を除く、新規の食品や食品生物についてその安全性を評価・認証する制度)として認定され頻用されている。
しかしトリグリセリド型オメガ3系脂肪酸よりもリン脂質型オメガ3系脂肪酸のほうが小腸経由で速やかに吸収されて各組織(とくに細胞膜)に分布することが明らかとなっており、一般的な魚油由来のトリグリセリド型オメガ3系脂肪酸よりもオキアミ由来のリン脂質型オメガ3系脂肪酸のほうが、人体にはより効果的である。
細胞膜の機能に極めて重要な役割
そもそも脂肪のなかでも流動性のある不飽和脂肪酸は細胞や血管を柔軟に保ち動脈硬化を防ぐ働きがある。不飽和脂肪酸はオメガ3系、オメガ6系、オメガ9系に分類されるが、現代の食生活ではオメガ6系(コーン油、ゴマ油など)が過剰になりつつあり、オメガ3系(魚油、紫蘇油、亜麻仁油等)が圧倒的に不足していることが指摘されている。
特にオメガ3系脂肪酸は動脈硬化を遅らせ、悪玉コレステロールと中性脂肪を減少させる働きがあり、血流を促進させ血圧を下げ、免疫システムを強化することもさまざまなデータが明らかにしている。
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