赤シソエキス・ムラサキイモエキスの機能性
〜ifiaJAPAN「第17回 国際食品添加物展・会議」

2012年5月23日(水)〜25日(金)、東京ビッグサイトで、「第17回 国際食品添加物展・会議および10回ヘルスフードエキスポ」が開催された。企業セミナーでは、今話題の機能性素材が紹介されたが、この中から日農化学工業(株)の「赤シソエキス・ムラサキイモエキス」の機能性報告について紹介する。


アンチエイジングや花粉症緩和などの機能

赤シソエキス・ムラサキイモエキスの機能性について同社担当者は次のように報告した。
世界的に健康志向が高まる中、より安心・安全のイメージの強い「食物由来の機能性食品素材」に、専門家のみならず一般消費者からも強い関心が寄せられるようになっている。ブルーベリーや赤ワイン等の健康効果で一躍注目を集めたポリフェノールは、アンチエイジングや花粉症緩和、肝機能向上など優れた機能を有していることが最新の研究で相次いで報告されている。

ブルーベリーや赤ワインに含まれるポリフェノールは、かつては食品の色づけ素材として用いられてきた。ムラサキイモは、紫がかった赤色が珍しいことで近年はケーキなどでも使用されている。ムラサキイモはポリフェノールの含有量が非常に高い食材として近年高く注目されている。

ムラサキイモに含まれるポリフェノールにはアントシアニンが豊富に含まれている。アントシアニンの主成分はシアニジンアシルグルコシド類、ペオニジンアシルグルコシド類であり、これらの成分の特徴として非常に強い抗酸化作用、肝機能向上効果・血流増加作用等の機能性を有することが報告がされている。

ムラサキイモ由来のアントシアニン、溶解性や耐熱性に優れる

ムラサキイモに含まれるポリフェノール成分のみを抽出することにより、アントシアニン濃度を10倍濃くできることがわかっている。日農化学工業ではいち早くムラサキイモからアントシアニンを抽出加工しエキスにしたものを販売してきた。

使用するムラサキイモはすべて国産(九州産)であり、毎年5月に宮崎県で植え付けが行われ、同年の9〜10月に収穫され、収穫直後に抽出加工される。ブルーベリーや赤ワイン由来のアントシアニンよりも、ムラサキイモ由来のアントシアニンのほうが溶解性や耐熱性、耐光性に優れているため、食品素材としても非常に使いやすいことが特徴である。

肝機能改善効果に着目し商品開発

アントシアニンの機能性についても多角的に研究が進められている。主成分であるシアニジンアシルグルコシド類とペオニジンアシルグルコシド類は抗酸化作用だけでなく、血糖値の上昇抑制効果・血圧上昇抑制効果・便通促進効果・肝機能の改善に効果的に働きかけることも観察されている。

日農化学工業では特に肝機能改善効果に着目し商品開発を進めている。10年前から発売している「ムラサキイモエキス」は、当初焼酎などに入れて色の変化を楽しむことを目的に販売をスタートしたが、利用者の多くから「翌日の二日酔いが軽減される」という報告があった。またそのためにリピートする消費者が増えたため、社内モニター試験で「肝機能改善効果」に関する効果測定を実施した。

その結果、血中のアルコール濃度のピーク時間が遅延することや血中のアルコール濃度低下時間が短縮することが認められた。

しかし現段階では社内モニター7名での小規模な結果であり、ムラサキイモ由来のアントシアニンエキスが体内でどのように働き、肝機能改善効果を発揮しているのか、そのメカニズムについては現在も研究中である。

赤シソ、抗炎症・高アレルギー作用などが報告

赤シソには赤シソを赤く色づけるポリフェノール類の一種であるアントシアニンと、花粉症緩和効果が期待されるロスマリン酸が豊富に含まれていることが明らかとなっている。アントシアニンは赤シソの赤色そのものであり、抗酸化作用・生活習慣病予防作用が期待される。

そしてもう一つのロスマリン酸は、ローズマリーから初めて単離された成分として知られ、シソ科植物の抗酸化作用に寄与していることが明らかとなっており、近年の研究では非常に強い抗炎症・高アレルギー作用があることが確認されている。

赤シソに含まれるアピゲニン・ルテオリン、強い抗アレルギー作用

ほかにも赤シソには「アピゲニン・ルテオリン」という成分が含まれる。これはセロリやパセリにも含まれるフラボノイドの一種で、赤シソにも比較的多く含まれることがわかってきた。

この成分にも強い抗アレルギー作用があることが知られ、つまり、これら複数の機能性成分を含んだ赤シソそのものに、非常に強い「抗炎症・抗アレルギー・花粉症緩和作用」があることが明らかとなっている。まさに赤シソがそのものが優れた機能性食材といえる。

花粉症患者を対象にモニター試験

日農化学では、赤シソの赤味をより強くするために、産地の北海道で土作りからこだわり、より赤味の強い赤シソ作りと開発に力を注いでいる。北海道という土地は冷所であるため害虫被害が比較的少なく、農薬を使わずに良質な赤シソを生産することができる。シソアントシアニンとロスマリン酸という2つのポリフェノールとアピゲニン・ルテオリン成分の相乗効果が赤シソエキスとして濃縮されることで抜群の効果を発揮する。

花粉症患者を対象に「赤シソエキス」のモニター試験をしたところ、53名中約60%の人が「改善効果がある」と回答した。特に鼻水、鼻づまりなど鼻炎に関する諸症状に効果的だったという意見が多かった。体内でのメカニズムは現在研究中だが、炎症時に活性化されるヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸を分解する生体内に広く分布する酵素)の活性を赤シソエキスが抑制しているのではないかと示唆される。

他にも赤シソエキスには抗菌作用、抗酸化作用、胃粘膜損傷の保護作用、肝障害抑制作用等も期待できる。エキスとして摂取するだけでなくエキスを菓子や飲料などにも流用できるため、今後は幅広い商品に使用することで多くの人々の健康に役立つことが期待される。



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