植物ステロール配合食品の市場発展性
〜ifiaJAPAN「第17回 国際食品添加物展・会議」

2012年5月23日(水)〜25日(金)、東京ビッグサイトで、「第17回 国際食品添加物展・会議および10回ヘルスフードエキスポ」が開催された。企業セミナーでは、今話題の機能性素材が紹介されたが、この中からエーザイフード・ケミカル(株)の「植物ステロール配合食品の市場発展性〜機能性素材で食品の付加価値を高める!」の機能性報告について紹介する。


血中コレステロールバランスを整える作用

植物ステロールの機能性について担当者は次のように報告した。
植物ステロールとは血中コレステロールバランスを整える作用のある機能性素材である。ステロール類に分類される一群の化合物であり、植物に含まれるものの総称でもある。

植物ステロールは主に細胞膜の構成成分として大豆、菜種、ゴマなど植物界に広く存在し、代表的なステロールとしては、β-シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロールがあり、その他二重結合を持たないステロール、脂肪酸エステル短鎖など多種類の構造のステロールが存在している。そして植物性ステロールは、食品添加物の既存添加物(乳化剤)としても収載されることが多い。

安全性の極めて高い機能性成分

この植物ステロールには近年「血清コレステロール低下作用」があることが明らかとなり、非常に注目を集めている。植物ステロールが含有されたマヨネーズ摂取で、健常な成人日本人男性に対する植物ステロールの有効性を観察したところ、血中のLDL-C(いわゆる悪玉コレステロール)濃度を低下させることが確認された。

またそのための有効摂取量としては800mg/日と、比較的少量の摂取で効果を発揮することが明らかになった。もちろん植物ステロールは日本人にとっても食経験が豊富で、アレルギーなども引き起こさない安全性の極めて高い機能性成分であることから、今後さまざまな健康食品への応用が期待できる。

少量で効果が期待

高コレステロールを気にする消費者に向けた機能性成分としては、すでにキトサン・低分子アルギン酸ナトリウム・サイリウム種皮由来食物繊維・大豆タンパク質などが知られている。しかしそれぞれの有効摂取量は、キトサン1g/日、低分子アルギン酸ナトリウム4g/日、サイリウム種皮由来食物繊維4g/日、大豆タンパク質25g/日と、植物ステロール(0.4〜0.8g/日)に比べ有効摂取量が多量である。つまり植物ステロールは、他の機能性成分より少量で効果が期待できることが最大のメリットとなる。

さらに植物ステロールそのものは無臭・無味であるという特徴から、どんな食品に混ぜても食材の風味を損なうことがなく商品展開しやすい。投入する食材の風味を損なわず、少量の使用で良いということは新規製品生産コストの低減にも繋がることから、今後幅広い商品展開に高い期待が持てる。

日本人の植物ステロール摂取量は50%以下に減少

そもそも多くの植物に幅広く存在している植物ステロールは、日本人の従来の伝統的な献立(和食)であれば十分に摂取することができていた。しかしある調査によると、1982年に比べ1994年では日本人の植物ステロール摂取量は50%以下に減少してしまっていることが明らかとなり、一方コレステロール摂取量は1957年に比べ、1982年時点で約2倍に増加。その後も日本人は、平均300mg/日程度の高コレステロール摂取量を維持したままである。

日本人の食生活の変化に伴い、コレステロールと植物ステロールの摂取バランスはまさに反転しており、学会発表の高コレステロールによる異常者頻度も、この20年で約2.5倍に伸びている。かつての日本人は「コレステロール由来の病気と無関係な民族」として欧米から注目を集めていたが、現在は欧米スタイルの食生活へと変貌を遂げたことで、欧米の数値を追い抜き逆転している。

「料理で家族の健康が左右と自覚」が87%

エーザイフード・ケミカル(株)で「食生活」に関して、東京・名古屋・大阪在住の30〜60代の主婦500名を対象にしたインターネット調査を行ったところ、毎日家族の食事を作っていると回答した人は全体の80%、その料理によって家族の健康が左右されていると自覚している人が87%と比較的高い数値になった。

しかし「その手料理によって家族の健康を守れている」と回答した人は全体の59%にとどまり、主婦の約40%が自分の家族の健康を守れているとは言い切れない状況を自覚していることがわかった。

そこで毎日の食事から家族の健康を維持増進させるために、植物ステロールの持つ優れた機能性を一般消費者に認知させていくことも、食事から健康を守ることに貢献するのではないかと、業界全体でさまざまな取組みがなされている。主にはメディアでの情報発信で、情報番組や健康番組で専門家を通じ植物性ステロールの機能性を訴求することで、植物ステロールそのものの認知度の向上を目指している。

コレステロール対策で訴求

また植物ステロールを配合する商品のバリエーションを増やすことは非常に効果的であり、現在では食用油やマヨネーズのほか、マーガリン・ドレッシング・ハンバーグ・ソーセージ・シリアル・ヨーグルト・一部の野菜ジュースやオレンジジュースといった飲料、サプリメントにも含有されるようになり、メディアとの相乗効果で一般の認知度も確実に高まってきた。このように植物ステロール配合食品の可能性は非常に高いと言える。

社会的背景にはコレステロール摂取量の著しい増大と献立からの植物ステロールの減少がある。そしてコレステロール値を気にする人は増大。そのため消費者は食事からコレステロール対策をする必要性を認識するに至っている。

こうした状況のなかで、植物ステロールは他のコレステロール低下作用を有する成分に比べコストパフォーマンスに優れ、安全性も高いことから将来性に大きな期待が寄せられている。植物ステロールはまさに今が食品への投入期であり、さまざまな展開で商品の付加価値、消費者の健康促進に役立つ素材といえそうだ。



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