血中コレステロールバランスを整える作用
植物ステロールの機能性について担当者は次のように報告した。
植物ステロールとは血中コレステロールバランスを整える作用のある機能性素材である。ステロール類に分類される一群の化合物であり、植物に含まれるものの総称でもある。
植物ステロールは主に細胞膜の構成成分として大豆、菜種、ゴマなど植物界に広く存在し、代表的なステロールとしては、β-シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロールがあり、その他二重結合を持たないステロール、脂肪酸エステル短鎖など多種類の構造のステロールが存在している。そして植物性ステロールは、食品添加物の既存添加物(乳化剤)としても収載されることが多い。
安全性の極めて高い機能性成分
この植物ステロールには近年「血清コレステロール低下作用」があることが明らかとなり、非常に注目を集めている。植物ステロールが含有されたマヨネーズ摂取で、健常な成人日本人男性に対する植物ステロールの有効性を観察したところ、血中のLDL-C(いわゆる悪玉コレステロール)濃度を低下させることが確認された。
またそのための有効摂取量としては800mg/日と、比較的少量の摂取で効果を発揮することが明らかになった。もちろん植物ステロールは日本人にとっても食経験が豊富で、アレルギーなども引き起こさない安全性の極めて高い機能性成分であることから、今後さまざまな健康食品への応用が期待できる。
少量で効果が期待
高コレステロールを気にする消費者に向けた機能性成分としては、すでにキトサン・低分子アルギン酸ナトリウム・サイリウム種皮由来食物繊維・大豆タンパク質などが知られている。しかしそれぞれの有効摂取量は、キトサン1g/日、低分子アルギン酸ナトリウム4g/日、サイリウム種皮由来食物繊維4g/日、大豆タンパク質25g/日と、植物ステロール(0.4〜0.8g/日)に比べ有効摂取量が多量である。つまり植物ステロールは、他の機能性成分より少量で効果が期待できることが最大のメリットとなる。
さらに植物ステロールそのものは無臭・無味であるという特徴から、どんな食品に混ぜても食材の風味を損なうことがなく商品展開しやすい。投入する食材の風味を損なわず、少量の使用で良いということは新規製品生産コストの低減にも繋がることから、今後幅広い商品展開に高い期待が持てる。
日本人の植物ステロール摂取量は50%以下に減少
そもそも多くの植物に幅広く存在している植物ステロールは、日本人の従来の伝統的な献立(和食)であれば十分に摂取することができていた。しかしある調査によると、1982年に比べ1994年では日本人の植物ステロール摂取量は50%以下に減少してしまっていることが明らかとなり、一方コレステロール摂取量は1957年に比べ、1982年時点で約2倍に増加。その後も日本人は、平均300mg/日程度の高コレステロール摂取量を維持したままである。
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