高齢者や妊婦にとってビタミン・ミネラルは重要
ビタミン・ミネラルの最新情報について担当者は次のように報告した。
ビタミン・ミネラルが人間の身体の維持・調整に重要であることは一般的に知られるようになった。タンパク質や糖質、脂質のように人体の構成に直接関与しなくとも、3大栄養素の体内調整に重要な役割を果たしている。
ビタミン・ミネラルは体内で合成できないため、意識的に食事から摂取しなければ心身に不調が生じる。近年の研究では特に高齢者と妊婦、そして赤ちゃんにとってビタミン・ミネラルが非常に重要だが、こうした人たちに非常に不足しやすいことも明らかになっている。
不足すると免疫力低下や代謝低下など招く
骨粗鬆症をはじめとし転倒による骨折など、骨の問題を抱える高齢者は少なくないが、その多くがビタミンの欠乏状態にあることが示唆されている。また乳幼児に起こりがちなトラブルの多くの原因が、妊婦の十分なビタミン・ミネラルの摂取不足との関連性が指摘されている。
近年では過度なダイエットをしている人にもビタミン・ミネラル不足が多く、免疫力の低下や代謝低下などの問題が起こりやすい。ビタミン・ミネラルが不足し、すぐに病として症状が表れなくても、精神的なイライラ、皮膚や髪、爪のトラブル、記憶障害や慢性的疲労などの不定愁訴となって肉体が緩やかに蝕まれることが多い。
東日本大震災では「特性サプリメント」が配布
昨年の東日本大震災では、大量の支援食料がセンターに山積みにされている映像が流れた。しかし、栄養学的には問題があり、おにぎりや菓子パン、インスタント食品を中心とした長期の食事で、ビタミン・ミネラル不足が深刻となり、被災者に追い打ちをかけるようにさまざまなトラブルや不調がもたらされた。
状況は徐々に改善され、最終的には「特性サプリメント」が炊き出しで配布されるようになったが、この経験を経て、今後の被災地支援では「十分な食料」だけでなく、「ビタミン・ミネラル」の支援が新たな課題として周知されるようになった。
隠れ饑餓人口は20億人
世界的な観点から眺めてみても、カロリーが満たされているのにビタミン・ミネラルが不足している「隠れた饑餓」人口が20億人を超えている。これは新しい饑餓の問題として、今や世界的な課題となっている。
この20億人のほとんどが先進国で生活をしており、先進国こそ食事の内容を見直す必要に迫られている。
ビタミンDの新しい効果
こうした中、先進国を中心に特にビタミンDの摂取量の急速な見直しが進められている。Dといえばこれまで骨の健康に効果的くらいしか知られていなかったが、ここ数年の研究によると「抗インフルエンザ作用」「運動機能改善効果」「抗結腸がん作用」「抗PMS(生理前)作用」「血圧心疾患緩和作用」「2型糖尿病の緩和作用」などが確認され、非常に注目を集めている。
ビタミンD研究は1959年頃から開始され、さまざまな文献が発表されてきた。1989年頃まで文献数は750点程度だったが、1999年頃から研究が盛り上がり、2000年に激増している。
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