β-クリプトキサンチンの美容作用
〜ifiaJAPAN「第17回 国際食品添加物展・会議」

2012年5月23日(水)〜25日(金)、東京ビッグサイトで、「第17回 国際食品添加物展・会議および10回ヘルスフードエキスポ」が開催された。企業セミナーでは、今話題の機能性素材が紹介されたが、この中からユニチカ(株)による「β-クリプトキサンチンの美容作用について」を紹介する。


抗酸化作用・免疫賦活作用などの機能性

β-クリプトキサンチンとは、βカロテンなどと同じカロテノイドの一種で、α-カロテン、β-カロテン、リコペン、ゼアキサンチン、ルテインとともにヒトの血中に存在する6種類のカロテノイドの一つである。

β-クリプトキサンチンは、温州みかんや柿、赤ピーマン、パパイヤ、ビワなどに豊富に含まれている。日本では温州みかんを日常的に食べるため、諸外国に比べてβ-クリプトキサンチンの摂取量は比較的多いとされている。

(独)農業・生物系特定産業技術研究果樹研究所を中心とした近年の活発な研究により、β-クリプトキサンチンの新たな生理活性機能として、骨粗鬆症予防・美白効果・抗酸化作用・免疫賦活作用などの機能性が明らかとなり非常に注目されている。

ラット実験で、骨密度を増加

卵巣を摘出することで骨粗鬆症を発症させたモデルマウスに、β-クリプトキサンチンを豊富に含む温州みかんを高容量(300mg/日)と低容量(30mg/日)で毎日7週連続投与し、高容量を投与したラットの骨量を測定したところ34.44%、低容量を投与したラットの骨量は30.48%であったというデータが発表されている。

比較対象として無投与の骨粗鬆症ラットについても骨量を測定したところ、16.97%であり、β-クリプトキサンチンは破骨細胞数を減少させて骨吸収を抑制すると共に、骨形成を促進させ、骨密度を増加させることが明らかである。

臨床試験も行われており、閉経後女性24名を無作為に3群に分け、プラセボを使用したダブルブラインド試験による比較試験を実施したところ、酵素処理を施したうんしゅうみかんを1日あたり100mgと400mg、12週摂取で調査したところ、両群において、骨形成マーカーの有意義な増加が観察され、β-クリプトキサンチンが閉経後女性の骨代謝改善に有効に働くことが示唆された。

メラニン色素沈着抑制効果が観察

β-クリプトキサンチンの色素沈着抑制効果について、ラット実験でβ-クリプトキサンチンはマウスのメラノーマ細胞に対してメラニン合成阻害作用を示すが、その効果はカロテノイドと比較しても非常に高いことが明らかになった。

この作用はメラニン合成の鍵となる酵素「チロシナーゼ」をβ-クリプトキサンチンが分解することを促進させているからではないか。

褐色モルモットに酵素処理をしたうんしゅうみかんを投与し、紫外線を照射することで皮膚の黒色化を惹起したところ、明らかなメラニン色素沈着抑制効果が観察された。

抗疲労や皮膚のターンオーバーの促進効果

β-クリプトキサンチンには抗疲労作用も認められている。健康な成人男性12名に自転車エルゴメーターを用いた運動試験を行ったところ、β-クリプトキサンチン試食群には運動後の乳酸値の上昇抑制と心拍数の早期回復といった抗疲労効果が確認された。今後、アスリートの疲労低減素材として広く使用されることが期待される。

またヒト皮膚再構成モデルを酵素処理うんしゅうみかんを添加した培地で6日間培養した後、表皮の厚みの増加が確認された。すなわち、皮膚のターンオーバーを促進させていると考えられ、β-クリプトキサンチンが皮膚の繊維芽細胞の増殖を促進させ、またコラーゲン産出を増強させていることが示唆された。またこの実験によりβ-クリプトキサンチンは経口だけでなく経皮からの吸収でも有効に働くことが明らかになった。

内臓脂肪低減作用でも優位な数値

他にも内臓脂肪低減作用やダイエット作用でも優位な数値を示している。今後はメタボリックシンドロームのリスク低減素材、あるいはダイエット素材としても注目を浴びることが期待される。

これらの実験で使用されたβ-クリプトキサンチンの原料となる温州みかんは、原産地を薩摩地方とする日本固有のみかんであり、1000年以上前に中国から持ち帰ったみかんを、日本独自の品種に改良したもので、日本独自の品種になってから400年は経過する、食経験の豊富な食品である。

酵素処理うんしゅうみかんとは、温州みかんからジュースを搾汁する行程で製造される温州みかん搾汁残さを原料とし、食品加工用酵素で処理することで、不純物を除去し、機能性成分の濃度を高めている。温州みかんを食すことでβ-クリプトキサンチンを摂取するより、酵素処理されたうんしゅうみかんを摂取するほうが、血中のβ-クリプトキサンチン濃度は30倍以上吸収されやすく、サプリメントや乳化タイプのエキスで上手に摂取するほうが効果的である。



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