納豆の機能性をアピール
〜7月10日「納豆の日」

2012年7月3日(火)、全国納豆共同組合連合主催の2012年度「納豆クイーン表彰式」が時事通信ホール(東京都中央区)で開催された。全国納豆共同組合連合(以下全納連)では、日本全国の納豆メーカーが加盟する納豆業界団体で、さまざまな活動を通じて、納豆の普及と需要拡大に努めている。


原材料の価格高騰や世界経済の低迷による影響

納豆は日本を代表する伝統食品で、近年、ナットウキナーゼやポリアミンをはじめとする機能性成分が含まれることなどが明らかになり、市場はここ十年余りで急拡大している。

しかし一方で、納豆業界は大豆や石油などの原材料の価格高騰や世界経済の低迷によるデフレなどの影響で、全納連加盟各社の経営状態は決して明るい状況とはいえないという。

ナットウキナーゼの有用性

ナットウキナーゼは納豆の粘りに含まれるタンパク質分解酵素で、納豆特有の成分である。納豆を生成する過程で、煮豆を納豆菌で醗酵させる際にナットウキナーゼが生成される。

この成分が体内で血栓の元となるタンパク質を分解する作用があることが近年明らかとなっており、血栓予防効果による血圧降下作用や血流改善作用が注目されるようになった。それによる高血圧や高脂血症、糖尿病などへのアプローチも期待されている。

また、心筋梗塞や脳梗塞といった日本人の死亡原因トップ3に入る重篤な症状も血栓が関与するため、納豆を1日1パック(50g)食べることが、健康維持に効果的であるといわれるようになった。

ポリアミン、加齢とともに減少

ポリアミンはすべての生物の細胞内でアミノ酸から合成される物質で、2種類(スペルミン、スペルミジン)あり、いずれも体内で細胞の増殖や生存に必要不可欠な物質だが、加齢とともに減少することが分かっている。近年、ポリアミンは腸や大腸といった消化管からの吸収が非常に良いため、食品から補うことが可能であることが判明。

加齢とともに生成されにくくなるポリアミンを食品から十分補うことができ、血中のポリアミン濃度を上昇させることができることが分かっている。

ポリアミン濃度を高めることは、動脈硬化の促進を防ぎ、老化を抑制することから全身のアンチエイジングになると注目を集めている。血管が老化しにくく、血流が良いことは細胞のアンチエイジングにつながるだけでなく、免疫細胞の若返りにもつながる。 また近年はポリアミンが体内で増えると、脂肪が燃焼しやしすくなることも明らかとなっている。

万能食品として認知

納豆のこれらの成分により血流促進や動脈硬化予防が期待できるだけでなく、脂肪燃焼作用や、食物繊維による整腸作用、免疫促進作用などにより万能食品として認知されつつある。

納豆は日本の伝統・文化・風土のなかで育まれた食品だが、世界的にもスローフードやロハスの流れから関心が寄せられている。食品業界では日本の「懐石料理」をユネスコの無形文化遺産として申請するための活動を推進中だが、全納連でもこれに賛同・活動するなかで、特に納豆を日本の食文化の誇りとして位置づけているという。

全納連のPR委員会では納豆を国内でさらに認知させるために毎年7月10日を「納豆の日」と制定し、納豆消費の拡大をテーマにさまざまな販促キャンペーンを開催している。2002年からスタートした「納豆クイーン」は納豆食推進のイメージリーダーとしての役割を担っている。



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