女性向けビタミンE(γ-トコフェロール)とは 〜食品開発展2012セミナー
国内外の食材が一堂に介した「食品開発展2012」が10月3日、4日、5日の3日間、東京ビックサイトで開催された。企業セミナーの中から、エーザイフード・ケミカルの「女性向けビタミンE(γ-トコフェロール)」を紹介する。ビタミンEの一種であるγ-トコフェロールは、ビタミンEの中でも健康と美容に有用な素材として注目されている。その機能性について解説した。


強いナトリウムバランスの調整機能

γ-トコフェロールは大豆油や菜種油などの植物油に含まれる天然のビタミンEである。天然ビタミンEにはトコフェノールとトコトリエノールがあり、それぞれα、β、γ、δの4種類がある。

通常ビタミンEというとα-トコフェノールが一般的で、体内脂肪の酸化を防ぐ優れた抗酸化作用が知られている。

しかしこれまであまり注目されなかったが、γ-トコフェロールのほうが、実は植物油の中では最も多く存在していることがわかっている。

また、動物の体内にはα-トコフェノールが多く存在しているが、人体、とくにヒトの筋肉や皮膚にはγ-トコフェロールのほうがが圧倒的に多く含まれている。

さらに、γ-トコフェロールが加齢とともに減少していくことなども注目され、γ-トコフェロールそのものにも何か機能性があるのではないかと、その作用解明が進められてきたという。

そこで明らかとなったのが、γ-トコフェロールが持つα-トコフェノールとは全く異なる機能性であった。

α-トコフェノールには体内脂肪の酸化防止や抗酸化作用があるが、γ-トコフェロールは抗酸化作用に加え、非常に強いナトリウムバランスの調整機能があることがわかったという。

むくみの原因の過剰なナトリウムを排出

γ-トコフェロールを摂取することでナトリウム排泄型の利尿作用が明らかとなり(ヒト試験済)、排尿障害だけでなく、むくみの改善、健康のバロメーターとなるホメオスタシス(体内の水分と各成分の比率が一定になるように恒常性が維持される体内システム)の安定化が図れるというデータも出ているという。

とくに現代女性の60%が悩まされているむくみやPMS(月経前症候群)、あるいは男女に関わらず肥満もホメオスタシスの崩れにより、体内の組織間に水分が過剰に停留した状態から引き起こされている。

これらはまさに不健康な状態であり、他の病気の原因にもなりかねない。

しかしγ-トコフェロール摂取による緩徐な利尿効果は、頻尿や急激な利尿を引き起こさず、自然な状態で体内に滞留した余分な水分や、とくにむくみの原因となる過剰なナトリウムを排出し、代謝そのものを正常にするという。

むくみに対する高い効果

とくに、一連の研究ではむくみに対する高い効果が認められているという。健康な人でも一日中立ち仕事、あるいは一日中同じ姿勢でいるとむくみが生じる。

女性はもともとの筋肉量が少ないことや、ストッキングや下着、パンプスなどによる下半身の圧迫などによってむくみの悩みを非常に多く抱えている。

男性のむくみは塩分と水分の過剰摂取の場合が多い。これらが続くと、筋肉疲労、血液循環の低下、血行不良が起こり、さらにむくみを頑固なものにしてしまう。そして血液や酸素の巡りの悪さが全身の健康に悪影響を及ぼしていく。

むくみを改善するには1、筋肉疲労をとる。2、血液循環をよくする。3、血管を強化する。4、塩分及び水分摂取を適度にし、排泄をしっかりさせる。という対策方法が知られている。

高ナトリウム食を摂取した時に、その排出効果が高く発揮

体内の過剰な塩分を排出する作用をもつ機能性成分として、これまではカリウムとカフェインが知られてきた。

しかしカリウムの過剰摂取では高カリウム血漿を生じさせ、カフェインの過剰摂取では体を冷やすといったデメリットもあるため、さまざまな素材をバランス良く摂取することが重要となる。

ここにγ-トコフェロールを加えれば、かなりのむくみ対策や改善効果を得ることが可能であるという。とくにγ-トコフェロールは高ナトリウム食を摂取したときに、その排出効果が高く発揮される。女性だけでなく、高塩分食を好む男性にも最適な素材という。

シミなどの原因となる酵素、チロシナーゼの阻害作用

γ-トコフェロールのもう一つの優れた機能性が美白効果。シミなどの原因となるメラニン色素を作り出す酸化酵素、チロシナーゼの活性を抑制し、黒色メラニン化を防ぐことが美白のメカニズムとされている。γ-トコフェロールにはチロシナーゼ阻害作用があり、非常に高い美白効果が期待されているという。

実際のヒト試験で、γ-トコフェロールが含まれていないクリーム(プラセボ)と、含まれているクリームを28日間同じ場所(腕)に塗布した。結果、明らかにγ-トコフェロールが含まれるクリームを塗布した群のほうがメラニンの数に減少が見られたという。

さらに継続して56日まで経過観察すると、その効果はさらに高く認められ、継続した使用が有効であることも確認された。γ-トコフェロールはもともと皮膚中に存在しているため、γ-トコフェロールの外からの塗布でも誘導体が働き、皮膚の炎症や色素沈着に効果的に働いているという。

むくみ改善効果、そして美白効果はまさにほとんどの女性が求めている。γ-トコフェロールは、アンチエイジングや美容の新素材として、今後の商品展開が非常に期待されるという。


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