血管の老化予防(Tie2活性化)に着目したアイケア素材:ツルレンゲ
〜食品開発展2012セミナー

国内外の食材が一堂に介した「食品開発展2012」が10月3日、4日、5日の3日間、東京ビックサイトで開催された。企業セミナーの中から、丸善製薬株式会社の「血管の老化予防(Tie2活性化)に着目したアイケア素材:ツルレンゲ」を紹介する。同社は、ツルレンゲの血管を守るTie2作用について解説した。


加齢による目の機能、45歳から低下

日本人の70%が眼精疲労に悩まされているといわれる。とくにパソコンやスマートフォンの普及で、ますます深刻化するものと予測されている。近年では子どもの眼精疲労までもが問題視されているが、現代社会での生活を考えると改善の糸口は見えてこない。眼精疲労は肩こりや首こり、頭痛を引き起こす。また眼精疲労は体内に蓄積されるためなかなか解消しづらいといわれる。

眼精疲労の原因には大きく分けて二つある。一つが生活習慣、もう一つが加齢。目の中には毛細血管が無数に存在し、目の隅々に酸素や栄養を届け、老廃物を運び出す。しかし日常生活でのストレスや加齢で目の機能、とくに筋肉と血管の機能が低下し、白内障や緑内障といった病気を引き起こすという。

とくに加齢による目の機能の低下は45歳を境に一気に加速することが明らかになっている。これまで目の健康に良いとされてきた機能性食品や素材はアントシアニンをはじめ複数知られている。しかし根本からの改善策として、血管の老化を防ぐことが最も重要ではないか。血管の老化を防ぐことが目の老化予防にならないか。そこから研究がスタートしたという。

Tie2受容体の活性化、内皮細胞のゆるみを強化

血管は加齢とともに老化することがわかっている。老化が進むと血管そのものがもろくなり、さまざまな弊害が起こるが、そのメカニズムにTie2作用が関連していることが明らかになっている。血管がもろくなるのは、血管の壁細胞とその内側にある内皮細胞の接着がゆるみ、構造が不安定になることだという。

このゆるみから、血管内の血漿成分や老廃物が漏れ出し、次第に血管外の組織部分に蓄積され、血管機能がさらに低下していく。しかし内皮細胞にはTie2受容体が存在している。

内皮細胞がゆるみ、隙間ができた部分があると、Tie2受容体は活性し、ゆるんだ部分に留まり、いわば接着剤のようにゆるみを固定する。ゆるみが固定され強化されることで、ゆるんだ血管の働きは元の確かなものとなり安定化する。これにより、血漿成分や老廃物の漏れを防ぐという。

Tie2受容体、加齢とともに不活性

つまりTie2受容体を活性化させることが非常に重要だが、Tie2受容体は加齢とともに不活性となることが明らかになっている。Tie2受容体の不活性こそ、まさに血管の老化現象ともいえる。この修復作用が働かないことで、肌表面のシミやシワ、頭皮では脱毛、体内ではむくみ、関節炎、メタボリックシンドロームなどが引き起こされるという。

Tie2受容体による一連の作業では、毛細血管の壁細胞からアンジオポエチンという物質が分泌される。

血管を守り、老化を防ぐためにはアンジオポエチンがしっかり分泌されるか、血管内で量が増えれば良いが、この分泌が老化とともに減少することが判っているという。

しかしアンジオポエチンに代わってTie2受容体を活性する植物エキスがあることが近年明らかとなってきた。この植物エキスがTie2受容体を活性化し、血管の細胞のゆるみを固定し、血管の老化防止が発揮される。

ツルレンゲ、煎じて服用で「めくらみを治す」

その植物の一つがツルレンゲである。日本でもおなじみのレンゲ草と同じ仲間で、主に中国で自生する多年草直物であり、中国では古くから生薬や漢方薬として利用されてきた。煎じて服用することで「めくらみを治す」「肝臓、腎臓の機能不全を補う」などの効果があるという。

細胞実験でツルレンゲ乾燥エキスを用いたTie2受容体活性作用で検討したところ、優れた活性作用が確認されたという。またマウス実験では、血液を染色し、血管から漏れる分泌液の量を測定することに成功し、同様に染色した血液を持つマウスにツルレンゲ乾燥エキスを投与し、血管から漏れる分泌量の測定を行ったところ、投与群のマウスにおいて血管透過性抑制作用が確認されたという。

ヒト試験で、眼精疲労への効果が確認

人の眼球内では、負荷やストレスで虚血状態になると栄養や酸素が行き渡らず、活性酸素が増えダメージが確認されているが、網膜の虚血ラットで試験をしたところ、ツルレンゲ乾燥エキスを摂取すると網膜状の視神経細胞への虚血ダメージを抑制する効果が見られたという。

また、ヒト試験で、パソコン作業に従事し、目の疲れを感じている女性11名を対象に、ツルレンゲ乾燥エキスを4週間摂取してもらったところ、眼精疲労に対する効果の確認がされたという。

ブルーベリーやルテインとの親和性も高い

これまで中国では伝統的にツルレンゲが目の健康に良いとされてきたが、これまで科学的な検討は行われてこなかった。しかし今回、ツルレンゲのアイケア効果は明らかになったという。また、ツルレンゲ乾燥エキスの利点は、2大アイケア素材といわれてきたブルーベリーとルテインと親和性が良いことである。

さらに同時摂取した場合、この2大素材の作用(抗酸化作用とUV-Bの光劣化防止作用)を補うこともわかった。もちろん単独素材として使用しても眼精疲労に伴う症状の十分な改善や視力悪化の抑制も報告されているという。


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