米国での食品素材販売、GRAS認可が前提
日本には日本でしか使われていない健康食品素材が多くある。これらの優れた健康食品素材を国外でも展開することにここ数年注目が集まっている。
しかし日本独自の素材だと、海外での食経験や安全性のデータが無いこともあり、米国での販売に必要な安全性評価を再度行う必要がある。
兼松ケミカルは、米国でそうした実務業務を行うコンサルティング会社、SPHERI Consulting社と提携しているという。
米国で食品素材を販売するには、食品添加物、サプリメント、もしくはGRASであると政府に認められることが前提となる。GRASとはGenerally Recognized As Safeの頭文字から成る造語で、「一般的に安全」と認められた素材または物質であることを示している。
販売開始までの期間をできるだけ短縮し、その素材を幅広い食品に使用できるとするためにはGRASの認証を得ることが最適である。
GRAS認可の安全評価、米国で随時更新
GRASの認可を受けるのに米国食品医薬品局(FDAの)許可は必要ない。GRAS独自の専門家の評価のみで認められる。そもそもGRASは1958年にFDAが制定したものだが、最終的にFDAに届け出ることでFDAの評価を受けることができる。
GRASとして認められるための条件は「1958年以前から食品として摂取されていたもの。もしくは科学的データと特定の専門家の評価により安全性が認められたもの」とされている。
この安全評価の方法は、米国で随時更新されている。最新のものでは、原則としてリスク評価は4段階で行っている。
まず第一に危険因子の特定。それが全くの新規素材である場合、その素材がどういったものかを定性的かつ定量的に評価し、定義することからはじめる。
分子レベルで調査
また、分子レベルでどういう物質から構成される素材であるのかも調査する。不純物の混入がないか、農薬や重金属などが含まれていないか、どういった微生物が付着しているのかいないのか、素材全体を定義しながら、その素材に含まれたリスクを全て洗いだし、可能性のある危険因子を特定していくという。
第二ステップは、ハザード=危険因子が特定できたら、FDAにある膨大なデータベースより、似たような毒性を示すデータがないかを探していく。その危険因子のリスクがある程度推測できたところで、第三ステップとして試験管テストに入る。
試験管テストでは、その危険因子に曝露する時間や量によってどれくらいの影響があるかを確認していく。また何か変化が起こった場合それが単発的に起こるのか、複数回起こるのかも調査していく。
そして第四ステップとしてこれらの総論としてリスクの特徴づけを行う。これが一連の流れであるという。
さらに特徴が定義できたら、動物実験を行い、動物実験では素材に含まれる危険因子=化学物質に曝露したことで起こる影響が部分的なのか、全身に及ぶものなのか、急性か、時間を要するものなのか、そうしたことも調査していく。
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