抗酸化物質のグルタチオン、肝機能向上などで有用
私たちのすべての細胞は代謝の際、活性酸素が発生する。活性酸素は細胞毒性が強く、がん細胞の生成に関与しているとされる。その毒性の弊害を少しでも避けるために、医療・健康・美容関連業界では食品から「抗酸化成分」を積極的に摂ることを推奨している。
抗酸化物質の中でも有名なものに「グルタチオン」がある。グルタチオンはアミノ酸の一種でほとんどすべての動植物や微生物の組織内に含まれる。このグルタチオンは、細胞の機能低下や変異をもたらす有害な物質を体内で解毒、肝機能を強化する作用が知られている。
コレステロールや中性脂肪が活性酸素によって酸化したものを過酸化脂質というが、この過酸化脂質の生成が細胞の老化やがん化を招くとも考えられている。グルタチオンは過酸化脂質の生成を抑制したり、生成された過酸化脂質から体を防御する働きが認められている。
グルタチオンは抗酸化作用だけでなく、肝機能向上や免疫活性、抗ストレス、アンチエイジング、がんへの効果などが期待されている。グルタチオンを多く含む食品には、アスパラガスやブロッコリー、ほうれん草やアボガド、牛レバーや赤貝などがある。
がん細胞、驚くべきスピードで増殖を続ける
そもそも代謝とは、食べ物などを摂取・消化し、ブドウ糖に変換して取り込み、筋肉や内臓あるいは脳で消費し、余ったものは脂肪として貯えられる一連のシステムのことである。
この代謝のメカニズムこそが我々の生命活動とも言い換えられるが、がん細胞の場合、周りの栄養や酸素はどんどん少なくなり、がん細胞の周囲の細胞は自身の代謝のために必要な栄養や酸素が得られず、腫瘍となる。そうした低栄養・低酸素の状態でもがん細胞は驚くべきスピードで増殖を続けるのが特徴である。
がん細胞、酸素を使わずATPを作る
細胞が代謝しながら倍々に増えるためには、莫大なATP(アデノシン三リン酸)が必要となる。ATPは、すべての植物、動物および微生物の細胞に存在するエネルギー分子で、細胞の増殖、筋肉の収縮、植物の光合成、菌類の醗酵などの代謝過程にエネルギーを供給するためにすべての生物が使用している。このATPも通常私たちの食事が消化吸収される代謝過程で、活性酸素によって作られる。
ところで、正常な細胞は、酸素を使ってATPを作り出すが、がん細胞は酸素を使わず、ATPを作り出すことが近年解明されているという。
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