納豆由来の機能性食品「NKCP」、血流
改善 の有効性を報告〜NKCP研究会2013

2013年1月27日(日)、東京国際フォーラムで、納豆から生まれた機能性食品素材「NKCP」の研究会が開催された。当日、国内外の医師4名が、臨床の現場でのNKCPの活用報告を行った。「NKCP」は、北米やヨーロッパ、アジアなど世界21カ国で販売、7カ国で「血液粘度低下作用」などの国際特許を取得している。

NKCPの基礎的・臨床的有効性について
獨協医科大学 医学博士 一杉 正仁

NKCPの濃度が高いほど、血液粘度が低下

NKCP(精製ナットウ菌培養物)は、大和薬品鰍ェ納豆の健康増進効果に着目し開発した機能性食品素材。大豆成分を含む液体培地に、独自の方法でナットウ菌を培養・精製したもので、ナットウ菌を除去し、納豆特有の臭いやビタミンK2を取り除いている。食品由来のため、安全性も高い。
動物及びヒトの試験では、NKCPの継続的な摂取で、血液粘度の低下による血栓を防止など、血流動態の健康的な維持が確認されており、医療分野でも広く使用されている。

ナットウ菌は細胞増殖期に酵素を分泌する。その時に分泌する酵素のバチロペプチダーゼFがNKCPの主成分となる。
バチロペプチダーゼFは、@抗凝固作用、A血液粘度低下作用、B血栓溶解作用の3つの機能を有する。
抗凝固作用の薬剤には「ヘパリン」があるが、NKCPにも同様の効果が認められている。NKCPの濃度が高いほど、血液の粘度が下がることが明らかとなっている。

NKCP、抗凝固作用はナットウキナーゼの100倍以上

納豆の成分を利用した健康食品はNKCP以外にもある。よく知られるのがナットウキナーゼだが、これはセリンプロテアーゼ酵素を主成分としているため、NKCPとは全く別物で、効果についても、NKCPとでは差がある。

一杉氏は、NKCPとナットウキナーゼ、一体どちらが良いか、と問われれば、間違いなくNKCPであると述べ、試験管実験による比較では、NKCPのほうが抗凝固作用が100倍以上効力があり、血栓溶解作用もNKCPのほうが2.5倍高いというデータを示した。

また、一杉氏は、病歴のない成人を対象にした臨床試験の結果を公表し、NKCPを1日2錠、1カ月継続摂取すると、肩凝りが良くなる、四肢の冷えがなくなるといったデータを提示。臨床においても、肩凝り、腰痛、手足の冷えなど、NKCPのほうがナットウキナーゼより優位な効果が得られたとした。

血流に問題を抱える人々が世界中に急増

現在、NKCPは海外でも血液粘度の低下剤として広く使用されている。血液が滞りなく流れることは健康にとって最も重要なことだが、この血流に問題を抱える人々が世界中に急増している。このことは糖尿病及び糖尿病予備軍の患者が激増していることを意味すると一杉氏は指摘する。

NKCPには血圧を下げる効果も見られるが、これは新たに見い出されたもので、さらなる機能性や効果が見つかりそうだと一杉氏はNKCPの有効性に期待を寄せる。NKCPの安全性はすでに高いレベルで確保されており、科学的エビデンスも国際的に評価されている。今後、さらにNKCPの体内での働きを明らかにしていきたいとした。

変形性関節症に対するNKCP+硫酸グルコサミンの臨床報告
市橋クリニック院長 医学博士 市橋 研一

グルコサミンの量を減らしNKCPと併用

整形外科医の市橋氏は、変形性関節症で悩む患者にNKCPを勧めると、歩行が滑らかになり、継続して利用する人が多いと述べ、NKCP使用前・使用後の4カ月に渡る調査結果を報告した。

市橋氏はこれまで硫酸グルコサミンを治療に用いてきたが、高額なため患者には負担であった。
そこで、NKCPを摂取していた女性には、グルコサミンをメーカーの推奨量の3分の1(1日当たり)にしたところ、膝の痛みが改善されたことから、血流の促進が軟骨に関与しているのではないかとの仮説を立て、昨年9月から12月、計8名の患者を対象に調査を行った。

変形性関節症の患者、膝の痛みが改善

対象となった患者は、比較的軽症で、ヒアルロン酸の関節注射や温熱などでリハビリをしているが、症状が中々良くならない男性3名と女性5名。
患者は、グルコサミンを推奨量の3分の1(1日当たり)とNKCP2錠を毎日摂取、「脚の動き」や「歩行時の加速度」にどのような変化がみられるか、とくに歩行時に骨盤がどう動くかを計測した。

結果、4カ月間グルコサミンとNKCPを摂取した全ての患者の歩行時の骨盤の左右の動きが良くなり、膝の痛みも少なくなったことが明らかになったという。

グルコサミンとNKCPは、併用すると治療効果が高まるばかりか経済的負担も軽くなると市橋氏。ただ、なぜこの組み合わせが高い効果を発揮するのか、その機序についてはまだ明らかでないため、継続した調査や臨床データを今後もまとめていきたいとした。



心疾患医療の最前線/注視すべきは血液凝固作用
Raif Tawakol(カリフォルニアCardiovascularクリニック院長)

PAI-1が高いと血栓ができやすい

Raif Tawakol氏(カリフォルニアCardiovascularクリニック院長)は、エジプト、英国、米国で心臓外科として数多く手術を行い、現在、統合医療による心疾患治療を実践している。

Tawakol氏は、PAI-1(plasminogen activator inhibitor-1)に対し、NKCPがもたらす作用について解説した。PAIとは、プラスミノーゲン アクチベーター インヒビーターの略。PAI-1は、脂肪細胞から分泌される生理活性物質のアディポサイトカインで、t-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)の活性を消失させる。

PAI-1は、肥満などで過剰に分泌され、血液を凝固、血栓を生じやすくする。さまざまな病態におけるPAI-1値は、ノーマルが4〜8、感染症が15〜25、初期のよくコントロールされた糖尿病が20〜25、糖尿病でそれほどコントロールされていない場合は30〜50、非常に進行した糖尿病は80〜100まで上がる。動脈硬化や心筋梗塞、悪性腫瘍などの病態では、PAI-1の高値が認められている。

近年、心臓疾患による突然死が増加しており、40歳以降は、コレステロールの問題だけでなく血栓による心疾患の発症が懸念されている。これまで、高血圧は単にコレステロールが関係するものと考えられていたが、実際は、PAI-1により血液の粘性が高まるため、NKCPを用いることで、PAI-1を減少させれば、高血圧を下げることができるとTawakol氏。心疾患による突然死も同様であるとした。

Tawakol氏は、血流改善が病態改善のベースになるが、同じ納豆成分のナットウキナーゼとではNKCPのほうが力価が高く、ガンや鬱病に対しても、「NKCPを使うことに手ごたえを感じている」とまとめた。

フィリピンのクリニックにおけるNKCPの臨床応用案例
Edna Sasing Lao(フィリピンDr.Edna Sasing Laoクリニック院長)

全ての疾病管理の重要な要素が血液粘度

Edna Sasing Lao氏(フィリピンDr.Edna Sasing Laoクリニック院長)は、「フィリピンではNKCPがたくさん使われ、かなりの症例がある」と述べ、代替医療を20年実践してきたが、まず血流動態が良いことが非常に重要、そのためにもNKCPが必要であるとした。

Lao氏は、NKCPを投与した症例を幾つか紹介した。心臓弁の問題を抱えた73歳の女性で、血栓症の治療薬のクマジン(ワーファリン)を使いたくないということで、NKCPに切り替えたところ、血液凝固検査のAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)が62.6(正常値は26から30)から2週間後には44になったという。

また、高血圧、頭部ふらふら感などへのNKCPの投与例も多いが、72歳の男性で、中等度の大きさの悪性の急性の気腫が右の視床部あったが手術を受けたくないということで、1日3錠、NKCPを投与したところ、病巣が2.08×1.96から1.5×1.5に縮小し、5週間後には退縮・消失したという。

Lao氏は、「全ての疾病管理の重要な要素が血液粘度。治療がいくら良くても血流に障害があれば血が濁る。そのため、NKCPは全ての治療の一部になっている。私の患者の全員にNKCPを出している」とまとめた。

[ パネルディスカッション ]

NKCP、他の薬と併用で相互作用は認められない

4人の医師によるNKCPの活用報告を終え、最後にパネルディスカッションが行われた。一杉氏は、NKCPの海外での使用例の報告を聞いて、使用量が多くても安全性が高いことや、ガンや鬱病などの精神疾患にも有効であることが示唆されたことについてNKCPの新たな可能性にさらに期待が寄せられるとした。

市橋氏は、NKCPが精神疾患にも有効であるとの報告を受け、血流が膝痛や腰痛だけでなく、最近増えている不妊症や不育症など、さまざまな症状の原因となっていることが次第に明らかにされるのではないかとした。

Tawakol氏は、NKCPの安全性の高さ、過剰摂取や長期摂取のリスクがほとんど起こらない点、降圧剤や他の薬との併用にも何の相互作用も認められないという利点を強調した。

Lao氏は、すべての疾病において血流が最も重要で、どのような優れた治療も最適な血液粘度でなければ効果が期待できないため、NKCPで血流や血液粘度を最適に保つことが予防医療だけでなく治療にも役立つとした。


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