PAI-1が高いと血栓ができやすい
Raif Tawakol氏(カリフォルニアCardiovascularクリニック院長)は、エジプト、英国、米国で心臓外科として数多く手術を行い、現在、統合医療による心疾患治療を実践している。
Tawakol氏は、PAI-1(plasminogen activator inhibitor-1)に対し、NKCPがもたらす作用について解説した。PAIとは、プラスミノーゲン アクチベーター インヒビーターの略。PAI-1は、脂肪細胞から分泌される生理活性物質のアディポサイトカインで、t-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)の活性を消失させる。
PAI-1は、肥満などで過剰に分泌され、血液を凝固、血栓を生じやすくする。さまざまな病態におけるPAI-1値は、ノーマルが4〜8、感染症が15〜25、初期のよくコントロールされた糖尿病が20〜25、糖尿病でそれほどコントロールされていない場合は30〜50、非常に進行した糖尿病は80〜100まで上がる。動脈硬化や心筋梗塞、悪性腫瘍などの病態では、PAI-1の高値が認められている。
近年、心臓疾患による突然死が増加しており、40歳以降は、コレステロールの問題だけでなく血栓による心疾患の発症が懸念されている。これまで、高血圧は単にコレステロールが関係するものと考えられていたが、実際は、PAI-1により血液の粘性が高まるため、NKCPを用いることで、PAI-1を減少させれば、高血圧を下げることができるとTawakol氏。心疾患による突然死も同様であるとした。
Tawakol氏は、血流改善が病態改善のベースになるが、同じ納豆成分のナットウキナーゼとではNKCPのほうが力価が高く、ガンや鬱病に対しても、「NKCPを使うことに手ごたえを感じている」とまとめた。
フィリピンのクリニックにおけるNKCPの臨床応用案例
Edna Sasing Lao(フィリピンDr.Edna Sasing Laoクリニック院長)
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全ての疾病管理の重要な要素が血液粘度
Edna Sasing Lao氏(フィリピンDr.Edna Sasing Laoクリニック院長)は、「フィリピンではNKCPがたくさん使われ、かなりの症例がある」と述べ、代替医療を20年実践してきたが、まず血流動態が良いことが非常に重要、そのためにもNKCPが必要であるとした。
Lao氏は、NKCPを投与した症例を幾つか紹介した。心臓弁の問題を抱えた73歳の女性で、血栓症の治療薬のクマジン(ワーファリン)を使いたくないということで、NKCPに切り替えたところ、血液凝固検査のAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)が62.6(正常値は26から30)から2週間後には44になったという。
また、高血圧、頭部ふらふら感などへのNKCPの投与例も多いが、72歳の男性で、中等度の大きさの悪性の急性の気腫が右の視床部あったが手術を受けたくないということで、1日3錠、NKCPを投与したところ、病巣が2.08×1.96から1.5×1.5に縮小し、5週間後には退縮・消失したという。
Lao氏は、「全ての疾病管理の重要な要素が血液粘度。治療がいくら良くても血流に障害があれば血が濁る。そのため、NKCPは全ての治療の一部になっている。私の患者の全員にNKCPを出している」とまとめた。
[ パネルディスカッション ]
NKCP、他の薬と併用で相互作用は認められない
4人の医師によるNKCPの活用報告を終え、最後にパネルディスカッションが行われた。一杉氏は、NKCPの海外での使用例の報告を聞いて、使用量が多くても安全性が高いことや、ガンや鬱病などの精神疾患にも有効であることが示唆されたことについてNKCPの新たな可能性にさらに期待が寄せられるとした。
市橋氏は、NKCPが精神疾患にも有効であるとの報告を受け、血流が膝痛や腰痛だけでなく、最近増えている不妊症や不育症など、さまざまな症状の原因となっていることが次第に明らかにされるのではないかとした。
Tawakol氏は、NKCPの安全性の高さ、過剰摂取や長期摂取のリスクがほとんど起こらない点、降圧剤や他の薬との併用にも何の相互作用も認められないという利点を強調した。
Lao氏は、すべての疾病において血流が最も重要で、どのような優れた治療も最適な血液粘度でなければ効果が期待できないため、NKCPで血流や血液粘度を最適に保つことが予防医療だけでなく治療にも役立つとした。