アドバイザリースタッフ制度の現状と課題 〜「統合医療展2013」セミナー
2013年2月20日(水)、東京ビッグサイトで、「統合医療展2013」が開催された。同展示会のセミナーから、一般社団法人 日本臨床栄養協会の樫山 純氏による「アドバイザリースタッフ制度の現状と課題」について取り上げる。

アドバイザリースタッフ制度の現状と課題
一般社団法人 日本臨床栄養協会 樫山 純

アドバイザリースタッフ、一般の人にも資格取得を

健康食品に含まれる成分や機能、活用方法を消費者に正しく情報を提供する助言者をアドバイザリースタッフといい、健康食品業界でその役割が期待されている。

平成14年には厚生労働省がアドバイザリースタッフについての通達を提示。その中には、「国民に健康的で質の高い生活を送るためにはバランスのとれた食生活が重要であることを前提に、正しい情報を提供し、身近で気軽に相談できる人材の養成は、過剰摂取等による健康被害の防止の観点からも望ましいと考えられる」と記されている。

この10年で健康食品市場は右肩上がりで拡大し、過剰摂取や相互作用の問題も比例して増加している。健康食品やサプリメントの使用の前に、「バランスのとれた食生活が重要」だが、消費者の十分な知識や正しい理解がないまま使用されるケースが多い。アドバイザリースタッフの役割は非常に重要で、一般の人にも資格取得を目指してもらうことなどが協会の課題となっている。

平成25年1月時点で資格取得者は5,000人強

アドバイザリースタッフは健康食品売り場や、製造会社のコールセンター、消費者センター、ドラックストアなどで活躍している。しかしその普及は十分とはいえず、協会ではすべての病院や保健所などへの配置を働きかけたいとしている。

アドバイザリースタッフの資格は誰でも、働きながらでも取得が可能。資格は厚生労働省のガイドラインに則った質の高いもので、質が低下しないよう更新制にしており、合格率は決して高くはないという。

平成13年に資格制度がスタートし、平成25年1月時点で資格取得者は5,000人強となった。うち70%が調理師や栄養士、管理栄養士や薬剤師などの国家資格を既に持ち、さらにアドバイザリースタッフの資格を取得しているため非常に優秀であるという。

平成25年4月、「NR・サプリメントアドバイザー」に

平成25年4月よりアドバイザリースタッフは「NR・サプリメントアドバイザー」と名称変更され、さらなる普及が期待されているという。これは民主党政権時の事業仕分けにより、国立健康・栄養研修所の栄養情報担当者(NR)事業が日本臨床栄養協会に移管統合されたためで資格名が変更になった。

今後さらに資格取得者の質を向上させるため、協会としては学術大会の継続的開催や資格者向けのレベルアップセミナー、資格者同士の交流会など内容の充実を図っていくという。また、通信講座を充実させ、スマートフォンやオンラインに対応したシステム開発など、より多くの人が資格取得にチャレンジできるようにしていきたいという。

資格の有効期間は5年

サプリメントアドバイザーの資格の有効期間は5年で、指定のカリキュラムから50単位を新たに取得しなければならない。これまでは聴講型のものが多かったが、今後は実践的・参加型のものを増やし、食品機能成分や効果効能について常に知識をアップデートし、情報共有を可能にしていきたいという。

資格取得者からは、資格の認知度が低過ぎる、活躍の場が少な過ぎるといった不満の声も挙がっているが、協会としては真摯に解決に向けて取り組み、アドバイザリースタッフを社会に浸透させていきたいという。

とはいえ、健康食品やサプリメントのカテゴリーは食品に過ぎない。その定義を国が行い、表示の問題なども合わせて解決していかなければ、アドバイザリースタッフの活躍の場もなかなか広がりにくい。

今後、アドバイザリースタッフの知識や豊富な経験を広く活用するために、地域医療を支えるスタッフとして「ヘルスケアアドバイザー(仮称)」「栄養相談アドバイザー(仮称)」として進化させることや、「治療より予防」の意識を高める教育推進スタッフとして活用したいとした。


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