コタラヒムブツ抽出エキスの機能性とその用途開発 〜健康博覧会2013セミナー
2013年3月14日(木)、東京ビッグサイトで、「健康博覧会2013」が開催された。同展示会のセミナーから、叶キ光による「コタラヒムブツ抽出エキスの機能性とその用途開発」を取り上げる。


スリランカ政府が厳重に保護育成、幻のハーブ

コタラヒムブツはスリランカにしか自生しないツル科の植物で、5,000〜6,000年以上前から薬草として重宝されてきた。現地では、多くの人々が健康維持のために幹を煎じるなどして摂取している。

「コタラヒムブツ」はシンハラ語(スリランカ語の一つ)で「神の恵」を意味する。スリランカの伝承医学であるアーユルヴェーダのなかでも重要なハーブの一つとされている。

コタラヒムブツは、利用できる大きさに成長するまでに7年以上の歳月が必要で、非常に貴重な植物とされている。そのため、スリランカ政府は乱獲防止や自然保護の目的で海外輸出規制を行い、厳重に保護育成している。コタラヒムブツは長い間世界のどこにも輸出されなかったことから、「幻のハーブ」といわれてきた。

日本にのみ一定量の輸出が許可

近年、スリランカ政府はコタラヒムブツの一定量の輸出を日本にのみ認めている。日本ではごく少数の企業がコタラヒムブツの直輸入が可能となり、ハーブティーやサプリメントなど徐々にコタラヒムブツが流通するようになっている。

コタラヒムブツはスリランカの他にインドの南西部にも自生しているといわれる。しかし、これは両方の学名が「サラシア レティキュラータ」と同じため、同じ植物と誤解されているにすぎない。

実際、スリランカのコタラヒムブツとインドのそれでは、全く異なるほど別種として進化を遂げており、効果効能も異なる。そのため、コタラヒムブツの独特の効果とその恩恵を受けたければ、スリランカ産にこだわる必要があるという。

食前に摂取で糖質の体内吸収が抑制

コタラヒムブツの最大の機能は「糖尿病の予防効果」である。これはすでにアーユルヴェーダの教典にも記されているという。糖尿病は現代病といわれるが、古くからあり、アーユルヴェーダの教典では「チャカラ・サンヒータ」と記されている。

症状として「混濁した尿が多く出て、尿には糖分が多く含まれるためアリやハエが集まり、口渇、口臭などがある病。怠惰な生活による病でマハラジャ(王候)の病」と解説されている。

スリランカでは数千以上年前から糖尿病にはコタラヒムブツが良いと伝承されてきた。コタラヒムブツを食前に摂ることで糖質の体内吸収が抑制されるという科学的メカニズムは、日本人の研究者により解明されたものという。

リパーゼ活性が低下、脂肪が溜め込まれにくい

コタラヒムブツにはコタノールやサラシノールという成分が含まれ、2糖類以上の糖を分解する「α-グルコシダーゼ」という酵素の働きを阻害する。

コタラヒムブツを食前に摂ることで、食事に含まれる糖質(ブドウ糖や果糖)の体内(特に小腸)吸収を抑え、血糖値の上昇を抑制、インスリンの過剰分泌を抑止することが明らかとなっている。

また、コタラヒムブツは胃液に含まれる脂肪分解酵素のリパーゼの活性を阻害する働きがあることが明らかとなっている。リパーゼは胃液に含まれる脂肪分解酵素で、これにより脂肪が脂肪細胞に取り込まれる。しかしコタラヒムブツを摂るとリパーゼの活性が低下するため、脂肪が溜め込まれにくくなるという。

2002年にWHO(世界保健機構)も有用性を認定

さらに、コタラヒムブツにより吸収が抑制された糖質は腸内でオリゴ糖となり、腸内の善玉菌の餌となるという。そのため腸内細菌のバランスが良くなり腸内環境が改善されるという大きな特徴もある。この腸内環境の改善により、腸内免疫が整い、花粉症や美肌の効果も期待されている。

コタラヒムブツの持つこれらの有用性については、2002年にWHO(世界保健機構)も認定しており、世界各国から高い注目が集まっている。そのため現在はハーブティー、サプリメント、キャンディ、化粧品などの応用商品の開発が進められているという。

もともと食経験の長いコタラヒムブツだが、臨床試験や安全性確認は厳格に行われている。特に糖尿病患者に対する臨床試験では被験者全員の血中中性脂肪濃度の低下を示するなど有益なデータがある。

糖尿病の予防や改善、肥満予防、便秘解消など、日本人には嬉しい効果が多く期待されるコタラヒムブツ。今後さらなる流通や知名度の拡大が期待される植物の一つであるとした。


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