オルニチン、アンモニア解毒促進
アミノ酸の一種であるオルニチンやシトルリンは、タンパク質を構成しない遊離アミノ酸である。そのため、一般的な認知度は低いが、近年その機能性に注目が集まっている。
まずオルニチンだが、これは生体内の各組織に広く分布している。オルニチンは一般的に食事から摂るが、欧州では医薬品成分として25年以上使用されている実績がある。
日本でオルニチンといえば「しじみ汁」が連想される。「飲み過ぎた翌日」の肝機能改善効果が期待されているが、これはオルニチンがアンモニアの解毒を促進するためである。
肝臓は食品の代謝、薬物代謝、アルコール代謝の他、胆汁の生産や血漿タンパク質の生産など多様な機能を備えた重要な臓器で、生命活動維持に必須な臓器として24時間フル活動している。
しかし、別名「沈黙の臓器」といわれるように、その機能が低下・悪化しても多くは自覚症状がないままで、気がついたときには重篤な状態であることが多い。
肝臓に異常を認める人が年々増加傾向
2010年に人間ドックを受診し、いずれかの項目に「異常あり」とされた人の割合は96.1%にものぼる。その中で肝臓の数値に異常を認めた人の割合は31.9%で、1983年の9.6%と比較すると、肝臓に異常を認める人は年々増加傾向にある。
欧州ではオルニチンは医薬品成分として用いられているが、日本では肝機能の低下を改善する決定的な薬剤は存在しないとされ、医師の指導の下、安静にするか栄養療法を行うことが治療の柱となっている。
オルニチンは口から摂取すると腸で吸収され、肝臓や腎臓、筋肉に運ばれ、オルニチンサイクルというアンモニアを代謝する経路で働き、アンモニアの解毒を促すことが明らかとなっている。
オルニチン、シジミにだけ飛び抜けて多い
アンモニアはタンパク質の分解により発生する毒性物質で、生体に悪影響を与える。そのため、その解毒を助けることは肝臓のスムーズな代謝に貢献すると考えられている。実際に、ヒト試験においても、オルニチンの摂取が肝機能マーカー値の改善を示すことが認められている。
肝臓に良いとされる成分としては他に「タウリン」「アラニン」「ビタミン12」などがあり、これらはホタテ、イカ、アサリにも含まれている。
しかし、オルニチンはシジミにだけ飛び抜けて多く含まれている。オルニチンはオルニチンサイクルの働きを活発にすることで肝機能を助け、肝臓疲労を回復することが期待される。そのため最終的には全身の疲労回復に役立つことが期待されている。
成長ホルモンの分泌を促進
オルニチンの新しい機能性として「成長ホルモン分泌効果」が認められている。ヒト試験において運動習慣のない日本人(成人男性12名)に、運動前にオルニチンを単体摂取させたところ、プラセボ摂取群に比べ、運動後の成長ホルモンの変化量が優位に上がった。
オルニチンには脳の下垂体を刺激して成長ホルモンの分泌を促進する機能性があることについてすでに幾つかの論文が出ている。実際、アメリカではオルニチンが筋肉を効果的に増強したいアスリート向けのサプリメントとして利用されているという。
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