リゾチームやナイシン、微量で静菌効果
食品の製造時や保存中においける腐敗、劣化の原因となる細菌の発生や増殖抑制のために、これまでさまざまな保存料、抗菌剤、静菌剤が開発され提案されている。
とくに、静菌剤は食品の安全や安定した保存を確保するため不可欠だが、完全に無味無臭なものがなく、食品に多少の影響を与えてしまうことが弱点とされてきた。
現在も完全に無味無臭な静菌剤は存在しない。しかし、臭いや味が極力弱く、ごく微量で高い静菌効果を示す素材であれば、食品に与える影響がごく僅かで、食品の美味しさを損なわないのではと、各企業で研究開発が進められてきた。そうした中、微量で静菌効果を示す素材としてリゾチームとナイシンが注目されているという。
リゾチームは卵白から抽出したタンパク質酵素で、微生物の細胞壁を切断する働きがある。これにより微生物の活動を抑制し、微量でも高い静菌作用を発揮するという。もちろん食品の風味にほとんど影響を与えないという利点もある。またグリシンやエタノール、ポリリンといった物質との相性も高く、それらと一緒に添加することで高い相乗効果を発揮するという。
あらゆる食品素材に対して親和性が高い
リゾチームは人の母乳や涙といった体液などにも含まれているため、安全性には優れている。さらに卵白由来のリゾチームはかすかに甘味があるが白色・無臭であるため、食品の見た目に影響を与えることもない。
あらゆる食品素材に対して親和性が高く、水分散性も良いため少量の使用で高い静菌効果を発揮するのも利点。食品の添加物表示には「酵素(卵由来)」「卵白リゾチーム」と記入できるため、消費者からの印象も良いという。
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