αリポ酸を多く含む食品にはレバー、ホウレンソウ、ニンジン、トマト、ブロッコリーなどがあるが、いずれもそれぞれの含有量が微量であるため、サプリメントでの摂取が推奨されている。
トコトリエノール、皮膚に優先的に分布
トコトリエノールはビタミンEの一種で、スーパービタミンEとも呼ばれ、同じビタミンEのトコフェノールと比べ、その抗酸化作用は40〜60倍。
トコトリエノールは皮膚に優先的に分布、蓄積するため皮膚の防御(シミ・そばかすの予防)やアンチエイジングに非常に効果的であるだけでなく、最新の研究では脳神経を保護する機能があることもわかっている。そのため、認知症患者が急激に増える高齢社会では欠かすことのできない注目のビタミンになっている。ただ、トコトリエノールも安定性や吸収性が低いという弱点があるという。
「包接化」という技術
この三大アンチエイジング素材の弱点、つまり不安定さや吸収性の低さを解消するのが「包接化」という技術である。外側は親水性、内側は親油性という特殊な形態のカップのような素材の内側に分子を取り込み固定化させる技術で、カップといっても非常に微小な分子サイズで内径は0.9ナノメートル程度である。
これらの包接に使用するカップ素材はオリゴ糖から抽出されるγシクロデキストリン(γCD)という物質が最適であることがわかっている。馴染みのない物質名だが、練りわさびや消臭剤スプレーなど幅広く使用されている。
包接化で安定性・吸収性・持続性が向上
シクロデキストリン分子はその環の大きさの違いからα、β、γの3種類に分類される。先の3つのアンチエイジング成分の包接に使用されるのは一番大きいγ、最も小さいサイズのαは、二酸化炭素のような気体や揮発性低分子も包接ができる。
この「包接」をすることで、それぞれの成分の安定性、吸収性、持続性が飛躍的に高まり、弱点を克服することが十分可能になった。COQ10においては包接によりその抗酸化力が包接後4倍ほど高くなるという。
また、αリポ酸も包接により生体内で十分な必要量の吸収が可能になった。トコトリエノールも包接により吸収性と安定性が高まり、抗酸化作用もより強力になることも明らかとなったという。
実際に、マウス実験で包接されたトコトリエノールの経口投与で生存率が増加したというデータも取れている。この技術でそれぞれの素材をサプリメントや食品利用だけでなく、化粧品などにも幅広く応用できるようになり、食品だけでなく発毛剤や美肌コスメなどへの応用が期待できるとした。