必須微量栄養素の理解を高める必要性
今や世界的に深刻な問題となっている「肥満」は、必須微量栄養素の摂取不足が一因と考えられている。必須栄養素不足は、年齢、性別、生活環境を問わず、すべての人に起きている。
食糧不足や飢餓で苦しむ途上国の人々だけでなく、食糧が十分にある先進国でさえ偏った食生活が蔓延し、栄養不足が世界中で深刻化している。必須微量栄養素の理解と認識を高めることが高齢化やアンチエイジング、ウエルエイジングといった現代の市場ニーズに応えることに直結するという。
高齢者人口の増加でビタミンDが注目
ヘルシーエイジングで、今最も注目すべき微量栄養素として、まず挙げられるのがビタミンD。世界中の高齢者人口の増加にともない、骨や関節の健康に関する市場は拡大しており、生涯にわたり骨と関節の健康を維持することはQOLの維持向上と直接的に結びつく。ビタミンDはカルシウムと一緒に摂取することで骨の維持と形成に働きかけ、転倒による骨折リスクや気づかぬうちに進行している骨粗鬆症のリスクを低減することに役立つ。
世界規模で70歳以上の40%の人が膝の骨粗鬆症に苦しんでいるといわれる。骨粗鬆症の80%の人が行動に制限があり、25%は日常生活の行動に支障があるといわれている。またビタミンDは食品からの摂取だけでなく、日光を浴びることでも生成・摂取される。しかし、外で過ごす時間が大幅に減少していることもあり多くの人が十分な量を摂取・合成できず、子どもでさえ骨折などの骨の問題が増加傾向にあるという。
オメガ3系脂肪酸、膝や足首の痛みを緩和
ビタミンDは骨の形成だけでなく、筋肉の機能強化を助ける要素があることも近年明らかとなっている。40歳代からジワジワと始まるロコモティブシンドロームの予防のためにも、幼少期や青年期から骨量を貯えることが非常に重要である。
骨や関節の健康を保つ微量栄養素では、他にもオメガ3多価不飽和脂肪酸(主なものとしてDHAやEPA)などがある。抗炎症物質作用があり、激しい関節痛、朝の関節のこわばり、膝や足首の痛みなどを緩和することに役立つ。
オメガ3多価不飽和脂肪酸は、循環器系疾患を予防することも証明されている。健康に悪影響を及ぼす中性脂肪の低下にも役立つため、肥満による心疾患のリスクを抱える人たちには不可欠である。
また、ビタミンCも重要。ビタミンCは抗酸化ビタミンとして知られ、アンチエイジング全般に効果を発揮するが、軟骨の形成や健康的な関節の維持、関節内に蓄積された尿酸の軽減などにも役立つ。実際ビタミンCを継続的に摂取している人は、血中尿酸濃度が低下しているという。
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