健康食品の機能性表示の在り方
〜薬業健康食品研究会シンポジウム

2013年6月4日(火)、主婦会館プラザエフで、薬業健康食品研究会 30周年記念シンポジウムが開催された。消費者委員会委員の田島眞氏が「健康食品の表示等の在り方に関する建議について〜特に機能性表示に関する検討と今後の運営」と題して「特定保健用食品」や「栄養機能食品」の表示の在り方など講演した。


求められる「第三の制度」

健康食品がどのように体に良いのか、その表示をめぐる議論は以前から進められてきた。TPP推進などの問題もあり、まさに今、政府の規制改革会議でも表示拡大に向けた議論が進められている。

現在、食品の中でも健康表示ができるのは「特定保健用食品」と「栄養機能食品」。「栄養機能食品」は国の基準を満たす量の栄養成分を含んでいれば、機能の表示ができる。対象はビタミン・ミネラルの17種類に限定され、基準を満たせば個別審査は不要である。

一方、「特定保健用食品」は認証に金銭的・時間的負担が膨大で中小企業にはハードルが高いという問題があると田島氏。そこで「第三の制度」として「より合理的かつ簡易に機能性表示を可能とする仕組みの構築」について議論が進められているという。

平成25年1月、4つの検討事項を公表

消費者委員会では、これまで健康食品の安全性や効果について食品安全委員会とともに審議をしてきた。「健康食品」の表示等のあり方に関する調査報告として、平成25年1月に4つの検討事項を公表している。

第一に、栄養機能性食品制度については拡充の方向で検討すべきということ。そのために海外の事例、実証研究を参考にすべきこと、新たに追加すべき栄養性成分の有無を検討することを求めた。

第二に、トクホ制度の拡充に向けて検討すべきということ。有効性に関する審議基準を作成すること、有効性の科学的根拠に関する一定の審査内容内の開示については検討をすべき。また既存のトクホ商品についても許可の更新性についての導入をすみやかに進めるべきとした。

第三に、新たな成分に係る保健の機能の表示を認める可能性があるかどうか、その機能性表示を求める仕組みについて、先に食品の機能性評価方法や科学的根拠レベルを表示に反映させる方法を解決させるべきであるとした。

第四に、消費者理解の促進の重要性。「トクホ食品」「栄養機能食品」「いわゆる健康食品」の区別についても、消費者の理解はまだ不十分なため、正しく商品選択できるように啓発啓蒙することが重要であるとした。

「特定保健用食品の審査手順を簡素化」など議論

現在、規制改革会議の「健康・医療ワーキンググループ(WG)」では、トクホ取得の個別審査の開発費用や許可までの時間が複雑かつ膨大であること、栄養機能食品は対象成分が限られ過ぎていることを問題視し、以下の4点について議論がなされているという。

@一般食品に機能性を表示できないか。
A特定保健用食品の審査手順を簡素化できないか。
B栄養機能食品の成分を拡大できないか。
@とAについては第三者認証制度を導入できないか。

健康食品は現在2兆円産業ともいわれる。米国を参考にすれば5兆円にも伸びると業界関係者は推測しているが、機能性を表現できないことが一番の制約という意見が大半を占める。ただ、「第三の制度」をいきなり導入すれば、これまで慎重すぎるともいわれた安全性の担保は崩れ、根拠の薄い表示が増える可能性があるという意見もあるという。



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