有害物質の基準、「SPS協定」と「Codex規格」
有害物質の基準値については、各国による独自規制の他に、世界的なものとして「SPS協定」と「Codex規格」の2つがある。
SPS協定とは「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」の略で、世界貿易機関(WTO)加盟国が国際貿易への障壁にならないことを条件に、「人の生命と健康」「動物の生命と健康」「植物の生命と健康」「食品の安全性」を確保するために掲げている原則である。
ここではWTO加盟国が食品の安全性に関わる措置を、「科学的な原則に基づく」「科学的根拠なしに維持しない」ことと定めている。
また、SPS協定では、有害物質についてのCodex規格がある場合、WTO加盟国はこれに基づいて行動しなければならないと定めている。ただ、科学的に正当な理由があり、Codex規格よりも高いレベルの基準値の設定であれば、そちらの措置を採択することも可能としている。
つまり加盟国として、Codex規格の最近の動向に適合していれば、SPS協定の要求も満たしているとされるという認識で、独自に基準値を策定しているというのが現状である。
Codexの有害物質の基準値、6つの指標
このようにCodex規格は各国にとって非常に重要な基準値の目安になっている。Codexとは、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が1962年に設立した機関で、現在は185カ国と一政府間組織(EU)が加盟している世界的組織である。
世界中の消費者の健康保護と食品の公正な貿易の確保を目的とし、国際食品規格(Codex規格)により、世界の人々の食の安全や健康に貢献している。
Codexが有害物質の基準値を検討するために必要な情報源には6つの指標がある。「毒性学情報(毒性と耐容摂取量)」、「含有実態データ」と「公正な貿易に関する情報」、さらに「食品の摂取量のデータと汚染工程」、「汚染の管理のための経済的な事項に関する情報」、「リスク評価に関する情報」である。これらの6つの指標から公正かつ科学的な情報収集を行い、Codex規格を策定していく。
各国の経済状態や衛生状態などの差異を考慮した国際基準
基準値を設定する原則として、「重要な健康リスクと貿易問題があるもののみ設定」や「汚染物質等の摂取寄与が大きな食品に対してのみ設定」を重視している。むやみに基準を設定することで生産や取引の不必要な中断がないよう十分な配慮をしているという。
また収集された情報は、複数の地域から得たものでなければいけないこと、第三者による分析機関からのものであること、分析方法についても日常的に各国で使用されている分析法でなければならないこと、などを原則として定め、その上でCodex規格を策定しているという。
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