消費者庁主導で、食品表示一元化へ
池戸氏は、食品表示の概要とこれまでの流れを次のように解説した。
食品表示は主に「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」の3つでカバーされている。昭和45年に「品質表示基準制度」が創設され「原材料・内容量・原産国・製造年月日・保存法・製造者」等が明記されるよう義務づけられた。以後、表示制度に大きな動きはなかった。
平成に入り、添加物の議論と表示の義務化が始まり、以降は急速に表示に関連する法律が増加し複雑化の一途を辿った。管轄も農林水産省、厚生労働省等へと分かれていった。
4年前に消費者庁が立ち上がり、表示に関しては消費者庁が主導し「食品表示一元化」が押し進められるようになった。消費者庁成立以前の食品表示については、「食品衛生法」「健康増進法」は厚労省、「JAS法」は農水省の担当で連携がスムーズとはいえなかった。
消費者が商品を選ぶ際に役立つ食品表示を
消費者庁設立後は「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」の表示規制にかかる事務作業を同庁が一元的に掌握、表示基準等の企画立案も行い、執行業務に関しては関係省庁と連携して実施するという方向で進められている。
2011年度の9月より第1回「食品表示一元化検討会」が開催、2012年8月の第12回で検討会が終了し、「消費者が実際に商品を選ぶ際に役立つ食品表示を目指す」ことを中心に意見がとりまとめられた。
「原産国や製造国」を気にする消費者
消費者は現行の食品表示についてどのような印象を持っているのか。平成23年の12月に消費者庁が行ったWEB調査(男女各1000人が対象)の結果によると、購入時に見る表示は「価格」「賞味期限」「商品名」「一括表示」との答えが圧倒的に多く、トクホマークやJASマークといった認証マークや栄養成分の強調表示(カロリーゼロ、レモン○個分のビタミンCなど)については、それほど浸透していないことが明らかとなっている。
購入の際に参考とする表示については「原産国や製造国」「原材料の原産地名」を見るという回答も比較的多った。しかし、多くの人が食品表示について、「文字が小さいくわかりにくい」と回答しており、文字の大きさと情報量のバランスをどのように保つかが表示の鍵となりそうである。
アレルギー物質に関する情報提示が重要
一元化される新たな食品表示については「情報の重要性の整序」が最も重要となる。現在、表示事項のすべてを見ている消費者は必ずしも多くない。より重要な情報が確実に消費者に伝わるよう検討することが重視されている。
文字サイズについても原則より大きな表示にすることが検討されているが、そのためには一括表示の内容を精査して緩和する必要が生じる。特にアレルギー表示については重要だが、一般食品だけでなく、中食や外食の現場においてもアレルギー物質に関する情報提示をする重要性が別途検討されはじめている。
包装されている全ての加工食品を対象に義務化
またインターネットによる食品販売も普及しているが、これには別途専門家を交えた検討が必要とされている。また自動販売機については大きな問題がないため、現行制度の枠組みを維持することなどが確認されている。
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