ピクノジェノールの最新研究アップデート
〜「食品開発展2013」セミナー

2013年10月9日〜11日、東京ビッグサイトで、「食品開発展2013」が開催された。同展示会のセミナーからホーファーリサーチ社による「ピクノジェノールの最新研究アップデート」の講演内容を紹介する。


樹齢30〜50年以上の海岸松から抽出

ピクノジェノールは、フランス南部のボルドー地方とピレネー山脈の間の大西洋岸に生育する海岸松の中でも樹齢30〜50年以上の、十分に生育した海岸松の樹皮からのみ抽出される天然の機能性素材で、近年高い注目を集めている。

海岸松は世界各国に存在するが、ボルドー地方の海岸松は、寒暖の差が激しく、紫外線量が多い苛酷な条件下で生育する。そのため、日本の海岸松と比べると樹皮が厚く、赤味も強く、フラボノイド類やポリフェノール類が多く含まれる。

通常、樹皮は食べないため、ピクノジェノール摂取の不安を指摘する声も少なからずある。しかし、ピクノジェノールを構成する有効成分の全てが他の食品にも含まれているものばかりで、例えばプロシアニジンはぶどうの皮に含まれる。また、カテキンは紅茶や緑茶にも含まれる。

体にとって決して珍しい成分ではなく、ピクノジェノールの安全性は高い。樹皮由来で高濃度に有効成分が抽出されているため、効率的に成分が摂取できる。

強力な抗酸化作用や血流改善機能

ピクノジェノールが注目されるのは5つの機能を備えているためである。一つ目が強力な抗酸化作用。代表的な抗酸化物質として知られるビタミンCの340倍、ビタミンEの170倍の抗酸化力が確認されており、体の錆ともいえる活性酸素を除去する効果が高い。

二つ目が、血流改善機能。ピクノジェノールは血小板の凝集をほどよく抑制するだけでなく、毛細血管のレベルで血管を拡張することが確認され、ヨーロッパではむくみや浮腫への医薬品として扱われている。

三つ目が、コラーゲンとエラスチンの結合機能。ピクノジェノール摂取で皮膚中のコラーゲンとエラスチンの結合が強化され、コラーゲンの分解を阻止する機能が確認されている。

血管もコラーゲンから成るが、ピクノジェノールの血流改善や血管強化の相乗作用で、血液の流れがスムーズになる。また骨や筋肉にもコラーゲンやエラスチンが多く含まれるため、ロコモ対策でも期待される。

四つ目が抗炎症作用。ピクノジェノールを摂り続けることで、体の各部位で起こるさまざまな炎症を沈静化し、痛みを和らげることが臨床試験で確認されている。

五つ目が血糖値の調整作用。余分な糖類の消化吸収を抑え、血糖値を健康的なレベルまで下げる効果が確認されている。

毎年複数の新たな論文が発表

多くの機能性を有するピクノジェノールだが、その機能性については完全に解明されておらず、毎年複数の新たな論文が発表されている。

最新の研究では、更年期障害の緩和に役立つ可能性があることが発表されている。45歳以上の女性の90%が更年期障害に苦しみ、日本では約550万人以上が日常生活に支障があるレベルの更年期に悩まされている。

更年期障害は症状が多岐に渡ることや、期間が2〜5年以上と長期に及ぶにもかかわらず、決定的な治療法がないため多くの女性が生活の質を低下させている。

更年期症状で苦しむ日本の女性170人を対象に、低用量(一日60mg)のピクノジェノールを3ヶ月投与する試験をダブルブラインドテストで実施したところ、ホットフラッシュ(急なほてりや発汗)の改善、疲労感・倦怠感の改善、不眠の改善など複数の有効性が評価された。

更年期症状の緩和に役立つ

更年期障害は女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少することで起こる。これまで治療にはホルモン充填療法が選択されることが多かったが、乳がんや心臓病のリスクを高める可能性が指摘されており、万人が安心して利用できる治療法とはいえなかった。

ピクノジェノールの摂取中の体内のエストロゲン値を調べると、数値にほとんど変化がみられなかった。つまり、女性ホルモンには何の影響も与えずに、更年期症状の緩和に役立つということである。またホルモン療法を行っている人にとっては、ピクノジェノールを併用することで、副作用に対して予防効果があることが明らかになった。

ヒアルロン酸を生成

更年期を経て、閉経を迎えた女性は肌の水分量や弾力、骨密度もコラーゲンの減少とともに低下する。55〜68歳の閉経後の女性20人を対象に1日75mgのピクノジェノールを6週間経口摂取してもらったところ、保湿レベルは13%向上、12週の摂取で21%も改善した。

またコラーゲン合成も30〜40%向上し、ピアルロン酸量も1.5倍に増えた。天然成分でヒアルロン酸を生成する機能が認められているのは今のところピクノジェノールだけで、美容業界からも注目が集まっている。ピクノジェノールは他のサプリメントや医薬品との相互作用もなく、妊娠中でも摂取でき、また長期間の摂取でも副作用がみられないなど安全性も高い。


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