水や油に馴染みやすい
クロセチンは、クチナシの果実やサフランのおしべに含まれる色素成分(カロテノイド)で、人の体内では合成できない。クロセチンは天然の着色料として世界中で永く利用され、東洋では生薬として古い歴史がある。
カロテノイドではベータカロテンがよく知られるが、分子が大きく親油性で、油分に溶けるが水には溶けないという難点がある。しかしクロセチンは分子が非常に小さく、親水基を持つため、水や油に馴染み(水に溶かすには一定の条件が必要となる)、添加物として利用しやすい。
眼精疲労改善で注目
クロセチンには、紫外線からの皮膚保護、美白作用、眠りの質の改善などの機能性が認められている。なかでも近年注目されているのが眼性疲労改善効果である。
日本では近年、緑内障や加齢黄斑変性症、糖尿病由来の網膜症が急増している。いずれも網膜の疾患だが、網膜疾患の危険因子は複数あり、原因を特定することが難しいとされている。
網膜疾患の危険因子とは、加齢、強い光、酸化ストレス、炎症、高眼圧、グルタミン酸毒性、血管新生、高血糖、低酸素・虚血などである。どれか一つが原因というより、複数が重なり発症するケースが多い。そのため、網膜疾患を解消するには、複数の危険因子に同時にアプローチできる機能を有した成分が効果的と考えられている。
1.5時間で速やかに眼球に分布
クロセチンの網膜保護に関する研究が複数のアプローチから行われている。クロセチンは経口摂取すると血管に取り込まれ、わずか1.5時間で速やかに眼球に分布することが分かっている。
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