今年6月、規制改革実施計画で健康食品の機能性制度検討
健康食品の市場規模は拡大を続け、中でもトクホ商品は平成3年に制度化し、今年8月には1,077件の商品が誕生している。しかし、登録申請手続きの煩雑さ、更新性でないことなど、当初より多くの問題が指摘されている。
今年6月、閣議決定された規制改革実施計画に基づき、トクホ表示の新たなあり方や一般の健康食品の機能性表示制度についての検討がされている、と阿南氏は解説。
健康食品の新たな表示制度とは、トクホ商品のように国の個別審査を必要とせず、米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考に、企業の責任と科学的根拠のもと、機能性表示ができるような流れで動いているという。
新表示制度、あらためて取り締まりを強化
消費者庁はこれまでトクホ商品の表示許可の作業を行ってきた。また、並行して健康食品の「表示の取り締まり」を重要な業務としてきた。新たな表示制度が施行されれば、これまで以上に取り締まりを強化していく可能性もあると阿南氏。
同庁では、特にインターネットでの健康食品等の虚偽・誇大表示の監視を重点的に行い、法令違反が見つかった場合は、事業者に適正な表示の変更を求めるだけでなく、商品を取り扱うショッピングモールの運営者にも注意喚起や協力要請を行っているという。
健康食品に関する相談、「送りつけ商法」で急増
また、近年では「送りつけ商法」など悪質な事業者の行政処分も後が断たない。健康食品の健康被害については減少傾向にあるが、完全にはなくならず、摂取した健康食品と健康被害の因果関係が否定できない場合は、厚労省や食品安全委員会と連携し、問題があれば販売禁止等の措置も行っているという。
消費者のトラブル相談の受け皿としてPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)がある。相談件数は全体的には減少傾向にあるが、それでも年間80万件を超え、決して低いわけではないと阿南氏。
健康食品の相談件数は平成20年度の15,868件(全相談の1.7%)以降減少傾向にあったが、平成24年度に一気に27,606件(全体の3.2%)に増えている。これは「送りつけ商法」の急増によるものという。
近年、「送りつけ商法」もより巧妙になっている。以前は着払いが多かったが、最近では通常の小包に振込伝票を入れ、支払が行われないと執拗に請求してくるというものが増えているという。
「送りつけ商法」の被害者は60〜70歳代が圧倒的に多い。
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