輸入品のカビ毒に注意
カビ毒は食品汚染物質のなかでも有害性が高いが、食品添加物などと比べあまり知られていない。カビ毒の原因となるカビは土中に生息しており、さまざまな農作物に付着・増殖し、毒素を発生させながら食品を汚染していく。
葉物の野菜や根菜だけでなく木の実や果実などからカビ毒が検出されることも多く、昆虫が媒介している。他にもカビ毒に汚染した農作物を食した家畜の肉や乳、チーズなどの加工品が汚染されているケースも少なくないと小西氏は解説。
しかし、日本にはカビ毒発生の原因となるカビ類はほとんど生息していないという。沖縄や九州の一部で見つかっているが、汚染を拡大させる強力なものではなく、国産の農作物のカビ毒については比較的安心して良い、と小西氏はいう。
その一方で、輸入食品には十分注意しなければならないという。今や、日本の食糧自給率は40%以下となり、ほとんどの食べ物を輸入品に頼っている。そのため、輸入食品のカビ毒検査がどのように行われているのか、十分な対応かなど消費者が理解する必要がある。
輸入者に厳しい措置
現在、輸入食品の検査体制は、国が行う無作為のモニタリング調査が第一関門と小西氏。多種多様な輸入食品の食品衛生状況など幅広く監査される。モニタリング検査により輸入食品の安全が保たれるが、検査で法違反が判明した場合や法違反の可能性が高い場合は、輸入者に検査命令が下る。
そうなると、輸入者は輸入のたびにロット全ての検査が求められ、かつ検査結果が判明するまで輸入が不可となる。また、検査にかかる費用は輸入者の負担となる。そのため、輸入者は最初からできるだけ質のよい食材を輸入せざるを得ない。一度下された検査命令はなかなか取り払われることがなく、輸入者はその後も輸入が難しくなるのが一般的だという。
アフラトキシン類、DNAを損傷
カビ毒検査の中でもとくに「アフラトキシン類」については厳しく行われている。DNAを損傷する発がん性物質であることが科学的に明らかとなっているからだ。
2004年、ケニアでアフラトキシンの大量摂取により317名中125名が亡くなった。古いトウモロコシの粉を食べたことが原因だった。ケニアやアフリカ諸国では日本の米とおなじような感覚でトウモロコシの粉を食べるが、多少古くても貴重なため食べてしまう。しかし運悪くカビ毒が大量発生していると、死を招くことがある。
2006年頃からトウモロコシのアフラトキシ違反増加
日本でのアフラトキシンの規制は1971年から開始している。アフラトキシンはナッツ類、穀類、香辛料、豆類、牛乳やチーズなど、あらゆる食品に含まれる可能性がある。
・
・