カロリー抑制で、体内の遺伝子が発現
「アンチエイジング」といってもここ数年は孤独死や認知症などのニュースが多く「長生きしたくない」という人も少なくない。しかしアンチエイジングとは単に長く生きるというだけでない。死を迎えるその日までのすべてのプロセスとQOLが充実したものであることを目指すものである。
老化による不調を予防しながら健康に長寿を実現するというのがアンチエイジングであり、右肩下がりではなく、右肩上がりで人生の終末を迎えられるようにしたい、それが正しいアンチエイジングの考え方であると坪田氏。
アンチエイジングは今や科学となり、さまざまな分野で多数の研究が行われている。アンチエイジングを実現するための医学的仮説として、「カロリーリストリクション(カロリー制限)」と「酸化ストレス」の2つが主流になっているという。
カロリーの抑制と長寿との関連については、体内で遺伝子の発現が変わるためで、インスリンホルモンやサーチュイン遺伝子にも変化が生じることが分かってきている。
平均寿命120歳も近い将来夢ではない
慶応大学ではエビデンスに基づいたアンチエイジング研究を行っているが、医学的にも長寿に貢献することが認められているアクションは「正しい食事」「運動」「ごきげん」であるという。この3つの研究を科学的により深めることで平均寿命120歳も近い将来夢ではないという。
この中で最も重要なのが「食事」で、ホルモンや神経の伝達物質の発現に影響を与えるだけでなく、食べる時間によっても体内物質の発現に影響を与えることが解明されつつある(時間栄養学)。また微量栄養素のビタミンやミネラルを過不足なく摂取することは「酸化ストレス」を抑制することになる。
また、カロリーを制限した食事のほうが微量栄養素を摂取しやすく、「カロリス仮説」と「酸化ストレス仮説」を結びつける新たな仮説の誕生を予感させるという。
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