消費者の50%が健康食品の有効性を期待
「健康食品とは薬ではなく、食品である」という当たり前のことが周知されているようでされていないと梅垣氏。しかし健康食品は本当に食品なのか?と問われれば、梅垣氏もただ頷くことはできないという。
というのも、食品とは美味しくて安全なものを指すからだ。健康食品のなかでも特に錠剤・カプセルのものに美味しさはなく、安全性についても確かではないものが含まれている。こういったことから、健康食品とは一体どういうものなのか、どのように利用すべきなのかを消費者一人ひとりに今一度考えてほしいという。
厚生労働省の調査によると、健康食品を利用する消費者の50%はその商品に有効性や効き目を期待しているという。またその機能性をわかりやすく表示してほしいという声も多く、現在その方向に向かった動きもある。
食品に機能の表示は行き過ぎていないか
しかし梅垣氏はこの消費者の意見にこそ問題があると指摘。もし目に見えるような効果や効き目があればそれは医薬品であり、消費者が個人の判断で購入して使えるものではない。
つまり健康食品に有効性や効き目に期待すること自体間違っていると解説する。機能性表示についても同様である。そもそも食品に機能を表示することは行き過ぎていないか?健康食品は医薬品ではないということを強調してもし過ぎることはないと繰り返した。
なぜこれほど健康食品の使用方法や表示に注意を促さなければいけないのか。それは医者ではない人が食品に病気の予防や改善効果を記載することで消費者の多くが適切に治療をする機会を失うからだと訴える。
生活習慣の改善に繋がるような利用が大切
例えば「鉄」という成分は貧血に効果があるということは一般的に知られている。だからといって鉄の健康食品だけを摂取していればいいのか?貧血には鉄不足が原因のものだけでなく、腎臓が原因になっている場合も少なくない。
他にも、鉄だけを摂取していても貧血の症状が改善されず、根本の原因が悪化して治療が遅れた場合、一体誰が責任を取るのか?そういった意味からも健康食品を疾病の改善だけでなく予防目的で使うことはとても危険だと訴えた。
では正しい使い方とはどういうものなのか?それは健康食品を利用することで生活習慣の改善に繋がるような利用をすることだと梅垣氏はいう。
例えば、ビタミン類のサプリメントを摂るのであれば同時に運動もするように心がけるとか、機能性のお茶を飲むのだから野菜を多目に摂取するように心がけるとか、健康食品を利用することで乱れがちな食生活の改善を図ることが大切だと梅垣氏。
トクホ商品の中には血圧や中性脂肪に働きかける機能が記載された商品も少なくないが、それだけを使って健康になれるわけではない。あくまでもその食品を摂取することで足りていない栄養を補給する、食生活や生活習慣の改善のきっかけに使うべきであると強調する。
機能性表記、消費者は製品に「期待」を寄せ過剰に摂取しがち
健康食品の中には違法な物や劣悪な物も存在している。栄養機能食品についても十分なチェックはなされていない。
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