黒酢の機能性研究を進めるため黒酢研究会を設立
和食が世界的にも注目を集めている。中でも黒酢は約200年もの間、健康食材として伝承され、現在は調味料としてだけでなく、飲料やサプリメント、トクホ商品としても広く普及し人気を集めている。
今日までにさまざまな研究者により生体に対する黒酢の機能性が報告されており、いくつかの機能解明がなされてきた。しかし、科学的エビデンスに基づく基礎研究や臨床研究、開発研究は未だ十分とはいえない。黒酢の機能性研究・科学的研究を進めることは、人々の健康を守るために必要不可欠であると考えられ、黒酢研究会が昨年設立された。
抗アレルギー作用、血清コレステロール低下作用など
鹿児島県霧島市福山町で伝統的に造られている食酢が黒酢である。原料は蒸し米・米麹・地下水のみで、これらをひとつの陶器の壷に入れて醸造される。壷のなかでは原料が混ざり合うことで、糖化・アルコール醗酵・酢酸醗酵といった過程が順次進行し、原料の熟成が進んでいく。
この熟成した上澄みの部分が黒酢であり、壷の底に残る不溶性醗酵残渣は「黒酢もろみ」。この「黒酢もろみ」を乾燥させて粉末化したものが「黒酢もろみ末」である。
黒酢の機能性としては、脂質代謝改善作用・高血圧抑制作用・糖代謝改善作用・肝機能改善作用などこれまでにも多くの効果が報告されている。
また近年は黒酢もろみ末の方にもいくつかの有効性が認められており、特に抗アレルギー作用・血清コレステロール低下作用・抗腫瘍作用などが動物実験や臨床実験でも報告されてきていると候氏は解説。
マウス実験で、NK細胞の活性が有意に増加
候氏のグループは、黒酢の機能性研究の一環として、黒酢の免疫賦活作用及び黒酢もろみ末の高血糖抑制効果について検討を行ったことを報告。この検討はマウスで行われたものであるが次のようなものであったと解説した。
はじめに正常マウスに黒酢を摂取させ、そのNK細胞活性を測定し、さらに黒酢を分画して得た構成成分を腫瘍を移植したマウスに摂取させ、免疫賦活作用および抗腫瘍作用にどのような変化が起こるかを解析した。
その結果、黒酢成分を正常なマウスに21日間連続投与したところ、マウスの脾臓のNK細胞の活性が有意に増加したことが認められ、また黒酢および黒酢の分画成分であるS-180という成分を腫瘍移植マウスに投与したところ、腫瘍の増大が明らかに抑制されたことも認められたという。
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