ストレス耐性で注目の熱ショックタンパク質(HSP)
「サンルージュピューレの機能性解析」と題して、村上 明氏(京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻)が講演。村上氏は、サンルージュのお茶ではなく、サンルージュをピューレ状にしたものにどのような機能性が備わっているのか、その可能性についての研究報告を行った。
そもそも私たち人間は日常生活でさまざまなストレスにさらされている。しかし、体には生体防御機能が備わっていて適度なストレスには耐えることができる。そしてこのストレス耐性を高めることは、さまざまな疾病などを予防することにもつながるとされる。
私たちの肉体はタンパク質の集合体だが、タンパク質は基本的にストレスで変性する。しかしその変性を修復させ生体の恒常性を維持することもストレス耐性だ。
こうしたストレス耐性のメカニズムにはいろいろなものがあるが、近年注目を集めているのが「熱ショックタンパク質=HSP(ヒートショックプロテイン)」である。
HSPが発現することでタンパク質は変性することなく正常に機能する。このことから、体内でHSPの発現レベルを高く維持することが健康につながると考えられるようになっている。
マウス実験で、HSが優位に発現
村上氏らのグループは、サンルージュピューレが生体でHSPを増やすことに関与しないか調査を行ったと発表。マウス実験で、飼料のなかにサンルージュピューレを加えたものと、同じく抗酸化作用の高い「やぶきた茶」を飼料に加えたものを比較対照として調査した。
結果、サンルージュピューレを投与したマウスの肝臓細胞や小腸上部に明らかに優位なHSPの発現が見られたとした。
また線虫に「やぶきた茶」と「サンルージュ」の飼料処理をして30日間の生存率を測定したところ、通常21日程度の寿命の線虫が「やぶきた茶」では効果が見られなかったが、サンルージュでは29日まで寿命が延長したという。
いずれも研究段階であるが、サンルージュによってHSPが誘導されるメカニズムとサンルージュによって何が活性されているのか、今後も研究を続けていきたいとした。
サンルージュが筋萎縮に及ぼす影響
立花 宏文氏(九州大学大学院 農学研究院生命機能科学部門)は、「サンルージュピューレに筋萎縮抑制作用の可能性を発見」と題して講演。
お茶にはさまざまな生理作用が報告されているが、筋萎縮に及ぼす作用の研究はほとんどなされていない。しかし近年、ストレスによって被害を受けやすい部位として骨格筋が注目されている。
骨格筋に筋萎縮が生じると寝たきりになるなど生活の質が低下する。そこでサンルージュが筋萎縮に及ぼす影響がないかどうか、マウスを用いて調査したと報告。
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