食品の健康効果の一つに、エストロゲン活性作用
ゲノムの解析技術が進み、化学物質の影響評価が高精度かつ簡便にできるようになってきている。講演では最新のDNAチップで食品機能成分を解析することで、副作用についても精度の高い評価ができるようになっていると木山氏は解説した。
例えば、イソフラボン、レスベラトロール、セサミン、クルクミン、コーヒー酸、ジンセノサイド、カプサイシン、ブレフェルディンA(朝鮮人参の有効成分)などの食品は高い健康効果が知られているが、共通しているのが「エストロゲン活性作用」を持つ点と木山氏。
エストロゲン、コレステロールを原料に体内合成
エストロゲンとは女性ホルモンのことで、女性の成長や排卵・妊娠の継続に不可欠である。エストロゲンは私たちの体内でコレステロールを原料に、男性ホルモンを経由して合成されている。
このホルモンの増減が、更年期障害だけでなく、生活習慣病やがん、動脈硬化といったさまざまな疾病の原因にも深く関与することが近年明らかとなっている。実際、更年期障害の治療にはこの女性ホルモンが用いられている。
さらに、エストロゲンは医薬界だけでなく、環境の分野では環境ホルモン(=環境エストロゲン)、食品の分野ではポリフェノール(=植物性エストロゲン)として広く浸透している。特にフェノール類と呼ばれる構造を持つ物質にはエストロゲン活性作用がある場合が多い。
良い活性と悪い活性の両方が起こる
エストロゲン活性を示す化学物質の特徴に、「脂溶性と水溶性の性質を持つ」ということがある。そのために医薬品や添加物としても利用しやすい。また、卵巣や子宮といった女性器官だけでなく、性別に関わらず脳神経や循環器系にも大きな影響を及ぼす。
その影響とは主に細胞の増殖を助ける働きだと木山氏。つまり神経を強化させたり、新陳代謝を高めたり、骨を増やしたりする。しかしこの作用が悪く働く場合もある。細胞の増殖を働きかけるということは、がん細胞など悪い細胞を増やしてしまうこともあるという。
そのためエストロゲン活性は非常に優れているにも関わらず、あまり一般的ではなく、多くの医師やメディアもあまり触れたがらない。良い活性と悪い活性が起こり、しかもその正負のジャッジをすることが極めて難しいからだ。
DNAチップを用いた解析
しかし実際のところ、有効的な健康食品に含まれている機能性成分はエストロゲン活性を示すことが多いという。つまり先に挙げたイソフラボンやレスベラトロールのように植物エストロゲンやポリフェノールなどは健康食品としてよく使用されている。
これらを継続摂取したときにどのような有効的変化が起こるかは十分なエビデンスもある。しかし期待する効果が得られる一方で副作用が起こるリスクももちろんある。特に体調があまり良くない人にとってはその状態が亢進する可能性もある。
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