海外で海藻ブームが起きている
海藻は体に良く、また海の中で増え過ぎた海藻を食べることは環境の保全にも繋がる。日本人は海藻の食経験が長く、その機能性や恩恵をあまり意識してこなかった。しかし、ここ数年、アメリカのスーパーの多くで海苔や昆布が売られるなど、海外で海藻ブームが起きていると宮下氏。
海藻はタンパク質を豊富に含む。アミノ酸スコアも白米65、小麦36に対し、海苔は91と高く、陸上の植物由来のタンパク質と比較しても優れている。さらに難消化性食物繊維も多く含み、腸内での有用性が期待できる。
海藻に含まれるオメガ3脂肪酸
また海藻は脂質も含むが、主にオメガ3脂肪酸である。オメガ3脂肪酸は、動脈硬化予防、心臓病予防、抗コレステロールなどの機能性が報告されている。海藻由来のオメガ3脂肪酸は、青魚由来のものと違って臭いがない。
褐藻の脂質に注目が集まっている
海藻の中でも、特に褐藻の脂質に注目が集まっていると宮下氏。褐藻とは色のついた海藻のことで、この色はオメガ3脂肪酸とフコキサンチンによるものである。
他にも褐藻にはコレステロール低下作用のフコステロール、抗酸化作用のフェノール類、フコイダンなどの粘性多糖類(免疫賦活や消化管保護作用)など多種多様の機能性成分が含まれている。
フコキサンチンは、天然の色素成分だが、他には、アスタキサンチン、βカロテン、リコピン、ルテインなどが知られる。
例えば、トマトやイチゴの赤い色素のリコピンは特に睾丸に集中しやすい。また、トウモロコシや黄色ピーマンに含まれるルテインは目の黄斑部分に集中しやすい。フコキサンチンについては、お腹の脂肪に集中し、そこで作用することが研究で明らかになっている。
フコキサンチン、現状では化学合成できない
そうしたことからフコキサンチンに抗肥満作用、抗糖尿病作用がないか宮下氏らのグループは研究を重ねてきたという。
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