人とお酒の良い関係〜肝機能対応の醗酵大麦エキス〜第32回「健康博覧会」セミナー
2014年3月12日(金)、東京ビッグサイトで、第32回「健康博覧会」が開催された。同展示会のセミナーから、三和酒類鰍フ「人とお酒の良い関係〜肝機能対応の醗酵大麦エキス」を取り上げる。


10年の歳月をかけて開発

同社は麦焼酎「いいちこ」で知られるが、麦焼酎の製造過程で生じる焼酎粕、醗酵大麦エキスを利用することで新たな商品を生み出したと発表した。

「醗酵大麦エキス」は、大麦を「こうじ酵素」の力で分解、さらに酵母を加え醸造した「醗酵産物(=焼酎粕)」から、同社独自の技術で有効成分を抽出・濃縮した天然食品素材。

当初、醗酵産物の「大麦焼酎粕」は文字通り「カス」で、使用されることはなかった。しかし、この醗酵産物にアミノ酸、ペプチド、タンパク質、多糖類、大麦ポリフェノールなどが豊富に残存していることが分かり、10年の歳月をかけて商品化したという。

醗酵大麦エキスを与えると肝障害が軽減

実は、清酒をよく飲む東北地域では肝硬変の発症が少ない。ただ、焼酎は清酒に比べ、肝硬変のリスクが高い。これに同社は注目、清酒に含まれる体に良い成分のほとんどが、焼酎製造の過程で生まれ、破棄していた「焼酎粕」に残っていることが分かった。

この大麦焼酎粕のさまざまな試験では、肝障害抑制、血清尿酸値低減、抗酸化、免疫調整、乳酸菌増殖促進などの作用が示されたという。

アルコール性肝障害の抑制効果については、アルコールを加えた餌をラットに与えた。するとやがて肝障害を起こした。しかし、別のラットにアルコールを加えた餌に、醗酵大麦エキスを加えたものを与えると、アルコールと餌だけのラットに比べ肝障害の度合いが低くなったという。

醗酵大麦エキスが活性酸素を除去

このメカニズムについては研究中で、おそらく醗酵大麦エキスがアセトアルデヒトによる活性酸素を除去する酵素活性を起こしているのではないかと考えているという。

同様の試験を、麦焼酎、ビール、ワイン、清酒、大豆の粕で行った。結果、清酒からできる粕にも肝障害の抑制効果が見られたが、麦焼酎からできる粕のほうが明らかな抑制効果がみられた。また、ほかの粕では変化はみられなかったという。

血清尿酸値も低下

1960年以降、日本で痛風患者が急増している。現在80万人が痛風を患い、高尿酸血症と呼ばれる痛風予備軍は400〜600万人といわれている。 日本人の高尿酸血症は60%が尿酸排泄低下型で、尿酸の排泄力が弱まっている。

ヒト試験で、ダブルブラインドテストにて醗酵大麦エキスを1日30ml、12週連続摂取した群とプラセボ群を検討したところ、醗酵大麦エキス摂取群のほうが8週目あたりから血清尿酸値が低下したという。

どの成分が関与しているのかまだよく分かっていない

醗酵大麦エキスは非常に複雑な構造のため、どの成分が肝障害抑制や尿酸値低下に関与しているかはまだわかっていない。それを突き止めることで、醗酵大麦エキスのより機能性の高い製品作りが可能ではないか、と日々研究を行っているという。


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