肝臓が不調になる原因は主に4つ
肝臓は人間の体幹の真ん中にある比較的大きな臓器である。小腸から吸収したものが肝臓に運ばれ、さまざまな代謝や解毒が行われる。また、ビタミンや糖、タンパク質の代謝、ホルモンの分泌にも関っている。
肝臓は、重要な役割を果たす器官で、ここに異常が起こると全身にさまざまな不調や疾病が起こりやすい。
肝臓が不調になる原因は主に4つ。
まずは肝炎ウイルスに犯された場合。そして、飲酒、過食、薬物の過剰摂取である。また、多くはないが自己免疫疾患の場合もある。今回、津久井氏は肝臓疾患の中でも日本人に最も多いB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスについて解説した。
肝臓がんのリスク因子、約90%がB・C型肝炎ウイルス
肝臓がんのリスク因子の約90%が、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスである。言い換えれば、B型肝炎とC型肝炎を克服すれば肝臓がんのリスクは激減するということである。
現在、日本人のがん罹患は、男性の第1位が肺がん、第2位が胃がん、第3位が大腸がん、第4位が肝臓がんである。女性の第1は大腸がん、第2位は肺がん、第3位が胃がん、第4位が膵臓がんとなっている。男性は大腸がんが3位になるまでは長年肝臓がんが3位であった。
ピアスや入れ墨などによる感染が問題に
C型肝炎は肝炎を起こすC型肝炎ウイルスの感染により、6ヶ月以上にわたり肝臓の炎症が続き、肝臓の細胞が徐々に破壊され肝臓の働きが悪くなる病気である。初期症状がほとんどないため自覚しづらく、放置しておくと肝硬変、さらに肝臓がんへと進行していく。
感染経路は血液で、かつては輸血や血液製剤、あるいは使い回しの注射針であったが、現在はそうした感染はほとんど起こり得ない。問題になっているのはピアス、入れ墨、覚せい剤の使い回し、不衛生な鍼治療などであるという。
近年、高い確率でウイルスを除去
現在、C型肝炎ウイルスを排除する治療ではインターフェロン療法が用いられている。この治療法は1990年頃から用いられるようになった。
しかしこの治療が始まった当初は治癒率が高くなく、C型肝炎ウイルスを排除できた患者さんはわずか数10%程度しかいなかったという。
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