菊の花に抗痛風や抗シワ作用
〜ifia JAPAN第19回 国際食品素材展セミナー

2014年5月21日(水)〜23日(金)、東京ビッグサイトで、「第19回 国際食品素材/添加物展・会議」及び「第12回 ヘルスフードエキスポ」が開催された。同展示会のセミナーからオリザ油化株式会社の「ルテオリン高含有「菊の花エキス」の抗痛風作用について」を取り上げる。


食用や薬用で3,000年以上使用

日本人の生活に馴染みの深い花の一つである「菊」。その菊の花のエキスが、痛風予防やスキンケア素材に適することをオリザ油化株式会社が発表した。

菊の花はキク科の植物で、花言葉は「高貴」。日本では皇室の花、桜と同様に国の花として大切にされ、パスポートの表紙や国家機関のシンボルとしても使用されている。

中国では食用はもちろん薬用としても3,000年以上あまり使用されており、中国の古典である「神農本草経」には「久しく服用すれば血気を利し、身を軽くし、天年を述べる」と記載されているという。

長寿に役立つとして重宝され、現在も菊茶や菊の花の鍋、薬膳は人気があり、漢方でも使用されている。特に視力減退、目のかすみ、目の充血、瞼の腫れや痛み、身体のほてり、発熱、咳、喉の痛み、めまい、ふらつきなど多岐に渡って利用されている。

江戸時代から東北を中心に食文化

江戸時代、日本でも食用にし、特に東北を中心に北陸などに菊の花を食べる文化があった。今でも全国でさまざまな料理に使用され、酢の物や天ぷら、菊花寿司などは人気がある。新潟ではおひたしや酢の物として食され、秋の味覚に欠かせない食材になっている。

日本での食用菊の年間生産量は約1千トンもあり愛知県、山形県の出荷量が多い。しかし生産者が高齢化しているため、生産量が減少傾向にある。

痛風予防やスキンケアに役立つ

オリザ油化株式会社では、菊の花の機能性成分はルテオリンをはじめとするフラボノイドであることを10年以上の研究で突き止めた。このフラボノイドが痛風予防、肌の深層からのスキンケアに役立つことから、商品化したという。

  痛風については、体内に過剰に溜まる尿酸が原因となる。私たちの体内では新陳代謝によりプリン体が毎日産生される。また、食品からもプリン体を摂っている。

このプリン体がキサンチンオキシターゼといわれる酵素で代謝されるときに尿酸が作られる。

1日に約600mgの尿酸が作られていて、健康であれば600mgの尿酸が尿から排出されるが、腎臓の機能が低下したり、尿酸が過剰に作られと、尿酸の排出が間に合わなくなり、関節に付着して痛風が起きる。

尿酸の合成を抑制

しかし菊の花の主成分であるルテオリンを摂取することで、キサンチンオキシターゼ酵素の活性が抑制されるため、尿酸の合成も抑制されることがわかったという。

実際に、痛風により足が腫れたモデルラットで実験をしたところ、1週間の菊の花エキス(ルテオリン)を投与することで、腫れの抑制作用が認められたという。

尿酸過多は痛風だけでなく高尿酸血症、腎不全、尿路結石などの原因にもなる。痛風予備軍は日本にすでに500万人以上いるが、増加傾向にあることから、食の改善や機能性成分の摂取が必要である。

抗シワ作用や美肌作用も

また菊の花エキスには抗シワ作用があるという。肌の表皮と真皮が接している部分を基底膜といい、基底膜は表皮と真皮をつなぎとめる役割をしているが、紫外線や酸化ストレスの影響を受けると、基底膜分解酵素MMP-9といわれる酵素が産生され、基底膜が破壊され、シワやたるみなどの全般的な皮膚の老化が起こる。

しかし菊の花エキス(ルテオリン)を摂取すると、MMP-9酵素の発現が抑制され、基底膜が保護されやすいという。また菊の花エキスおよびルテオリンが、皮膚細胞外でW型コラーゲンの発現を増加させることから、基底膜を修復し抗シワ作用や美肌作用を発揮するメカニズムが明らかになったと報告した。

  他にも睡眠改善効果、女性ホルモン様作用などがみられ、菊の花の持つ機能性に注目が集まっており、日本人に馴染みがある「ジャパニーズ生薬ライン」としてもストーリー性が高く、新規商品開発にも役立つのではないかとした。


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