トクホ1,100商品超え、再び活況
健康食品業界や関連企業では、「機能性素材の表示の緩和」に最大の注目が集まっている。このことについて考える前に「食品市場」の現状をよく現している2つの大きなトピックスについて理解しておく必要があるという。
1つ目がトクホ商品市場の活性について。去年から今年にかけて、トクホのコーラやコーヒー、さらにダブルトクホ商品など新製品が次々に誕生している。
これらの新製品はコンビニを中心に市場を拡大し、誰もが知る商品へと急成長している。トクホ商品や市場は数年前に停滞期を迎えていたが、現在は許可品目が1,100商品を超え、再び活況を呈している。
高齢化市場、すでに2兆円規模越え
2つ目が「食」そのものの見直しである。和食の世界無形文化遺産への登録、タニタ食堂のヘルシーレシピや店舗のブームなど、食べることが健康と不健康を左右しているという事実について、消費者が理解を深めている。この2つのトピックスは今年から来年も続くものであろうと解説。
また、食の市場だけではなく、超高齢化社会についても常に心に留めておく必要がある。高齢化市場はすでに2兆円規模を越えている。昨年時点のデータでは65歳以上の人は既に3,000万人を越えている。
オリンピックが開催される2020年には高齢者市場だけで5兆円を越えることが試算されており、2030年には65歳ではなく75歳以上の人が3,700万人以上になると推測されている。
60〜70代の約30%がほぼ毎日健康食品を利用
現在、60〜70代の約30%がほぼ毎日健康食品を利用しているというデータがあり、健康食品企業にとってもこの市場が一層の追い風となるであろうと解説。
また高齢者といっても、足腰や体調に問題を抱える人が必ずしも増加するかどうかはわからない。すでに65歳以上の人でも登山やフィットネスクラブなどさまざまなアクティビティを満喫しており、高齢者といっても従来のイメージで商品開発をするのはマッチしないかもしれないと指摘した。
政府が健康ビジネスを重要な成長産業と捉えている
政府は2013年に「規制改革実施計画」を発表しており、これにともない機能性表示の緩和の促進が予測されている。表示の緩和についてはアメリカのダイエタリーサプリメント制度に習い、企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性を開示する方向性が示唆されている。
また、消費者庁は食品表示の緩和・対策を推進している。経済産業省は「次世代ヘルスケア」に力を入れており、厚労省も「食の安全・安心確保」の対策に力を入れている。
さらに、農水省も「機能性食品の開発や実用化」に力を入れている。つまり政府そのものが健康ビジネスを重要な成長産業と捉えていることがよくわかる。
そこで2015年以降、健康食品や機能性成分はどのような方向に進むと予測されるのか。これまで健康食品に最も重要であることの一つに、テレビやメディアでの認知度拡大があった。
しかし、表示が緩和され、行政や政府も健康食品やヘルスメディケーションの普及をバックアップしてくれるとなれば、今後は認知度よりも「エビデンス、安心・安全、個別ニーズへのマッチ」の方が重要になるであろうと予測される。
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