機能性表示の容認、各界で注目
アベノミクスの「三本の矢」といわれる成長戦略の目玉である規制改革。なかでも「セルフケアとセルフメディケーションの促進」や「医療産業の振興」については特に安倍総理自身も力を入れているといわれている。
具体的には、「トクホ商品の活性化」「健康食品産業の振興および機能性表示の容認」「農作物・加工品への機能性表示容認」「再生医療、遺伝子治療などで世界初を目指す先進医療」「医療技術の海外輸出」などだ。
特に「機能性表示の容認」については、数十年も議論されてきた課題であり、これが大きく前進するのではないかと各界から期待が寄せられている。
消費者庁が中心に、科学的根拠の考え方など今夏にも報告書
既定路線として、「いわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物について、機能性の表示を容認する新たな方策をそれぞれ検討すること」、「国ではなく企業等が自らその科学的根拠を評価した上で、その機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にすること」、「企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性を表示できるもの」などが概ね定められており、本年度中に結論と措置が行われる、と森下氏は解説。
この方針に基づき、現在、主に消費者庁が中心となって、「食品の新たな機能性制度に関わる安全確保の在り方」「機能性表示を行うに当たって必要な科学的根拠の考え方」「消費者にとって誤認のない機能性表示方法の在り方」について急ピッチで検討会が続けられている。これらも本年夏を目途に報告書が取りまとめられる予定だという。
臓器の健康は明記、疾病の明記はしない
新たな表示方法の参考にするとされるアメリカの「ダイエタリーサプリメント」の表示例では、例えば「カルシウムは強い骨を形成します」「魚油(DHA、EPA)は心臓、血管、循環器、関節の健康を維持します」「イチョウ葉は、脳機能と循環器の健康を促進します」といったものがある。
各臓器の健康については明確にするも疾病については書かないというルールがある。日本もこの方向で表示が認められるのではないかと予測されると森下氏。また新たな表示方法を容認するだけでなく、製造及び市販後もどのように安全性を確保するかというのが最大の論点という。
トクホとの共存、差別化という課題も
今回、機能表示が容認されるとなると、ヘルスクレームを増やしたいという意見も後を絶たないであろう。日本ではトクホ商品に、「整腸作用」「血圧調整」「骨の健康」「ミネラルの吸収」「歯と歯茎の健康」「血糖値調節」「コレステロール改善」「血中中性脂肪改善」「体脂肪改善」の9つのヘルスクレームが認められている。
しかしながら、隣の韓国では25のヘルスクレームが認められている。例えば、「疲労改善」「記憶力改善」「肌の健康」「健康改善」など、非常に魅力的なもので、参考にすべきとの声が多いという。
今年5月2日に行われた消費者庁の検討会ではこれまでのトクホ制度は廃止しないことが確認されているといわれるが、トクホ商品との共存、差別化などが課題として残っているという。
「医薬品との相互作用の有無」などどう表示するか
他にも、検討が続けられているのが「対象となる食品及び成分の考え方、並びに摂取量の在り方」について。機能性成分を表示する食品の安全性については事業者自ら評価することになる。
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