食中毒で患者数が多いノロウイルス食中毒
私たちの身の回りにはさまざまな微生物がいるが、食中毒菌には注意が必要だと関崎氏。菌数が微量でも、食品が腐敗していなくても、汚染された食品を食べると食中毒が起きる。食中毒菌の問題点は、それが食品に微量に付着していても見た目や臭いで判断できないところにある。
厚労省の調査によると、食中毒のなかでも患者数が多いのはノロウイルス食中毒。また、平成8年に約1万5千人の患者を出した腸管出血性大腸菌O157、同年に1万7千人近い患者が出たサルモネラ菌によるものも多いという。
カンピロバクターでも多くの患者数
食中毒による死亡者数については、平成8年から平成25年まで、腸管出血性大腸菌が37名、サルモネラ菌は19名と報告されている。
腸管出血性大腸菌の死亡者のうち7名は平成23年のユッケ事件、8名が平成24年の白菜浅漬け事件で亡くなっている。腸管出血性大腸炎による健康被害はニュースになりやすいが、サルモネラ菌でも19名の死者を出している。また、あまりなじみがないがカンピロバクターでも多くの患者数が記録されている。
主な原因食品は牛肉、牛レバー、鶏肉
腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクターの主な原因食品を調査すると牛肉、牛レバー、鶏肉、鶏レバーなどの畜産物である。
腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクターは、牛、鶏、豚などの便から検出されるが、これらの菌が動物の便に存在していても、動物は病気にならないため検出が難しい。
しかし排泄された便でホルモンやレバー、あるいは井戸水、河川泥、肥料などに汚染すれば、野菜類にまで汚染が拡大し、食中毒を引き起こす原因となりうる。鶏卵がサルモネラ菌に汚染されているケースも少なくない。
5,000〜20,000個に1個の割合で汚染
日本では、養鶏場で徹底した衛生管理が行われるようになったため、5,000〜20,000個に1個の割合で汚染が発見される程度(発表元により数値が異なる)。
サルモネラ菌は微量だと食中毒は起きにくい。そのため、購入してすぐに冷蔵保存すれば、菌が増殖することもなく比較的安心して生卵を食べられる。
しかし腸管出血性大腸菌やカンピロバクターは増殖しても目に見えず、ごくわずかな量でも危険なため、菌が付いているものと認識し食品を扱う必要があると関崎氏は指摘する。
いずれの菌も増やさないよう、購入後速やかに冷蔵保存する。また、食べる際、十分な加熱調理をすれば、食中毒は防げるという。食中毒防止三原則の「広げない、増やさない、殺す」を徹底して守るのが一番という。
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