食物アレルギーの情報公開に前向きに
食物アレルギーの表示対象となる食品は年々増加傾向にある。食物アレルギーによるアナフィラキシーショック事件も報道されている。
こうした食物アレルギー情報の公開に前向きに取り組んでほしいと田中氏。
食物アレルギーの最大の問題点は、多くの人が「自分とは関係のない、ほんの一部の人の問題」として理解をしていない点にある田中氏は指摘する。実際、食物アレルギーを持つ人は日本人の1〜2%ともいわれ、割合として非常に少ない。
約26%が周りに食物アレルギーの人がいると回答
しかし、これは病院に通っている人の割合であり、実際には自分の経験から特定の食品を避けていたり、症状が軽度であるために病院に行かなかったりという人も多い。
またアレルギーは当事者だけでなく、その家族への影響を考えると、この問題に悩む人の数は1〜2%(乳児に限定すると10%)ということはないはずと田中氏は指摘。
実際、ある調査(注1)では「自分あるいは家族に食物アレルギーの人がいるか?」という質問に、約26%以上の人が周りに食物アレルギーの人がいると回答しているという。
近年、口腔アレルギー症候群が増えている
いろいろなアレルギー症状があるが、とくに食物アレルギーはここ15年で急増している。基本的には乳幼児が発症しやすいが、成人になってから発症する場合もある。
近年は果物・野菜・魚介類などによるアレルギー報告も多い。特に最近増えているのが新タイプの食物アレルギーである「口腔アレルギー症候群」。
これは特に成人女性に多く、アレルゲンは果物(キウイ、メロン、モモ、パイナップル、リンゴなど)、トマトなどの野菜が多い。基本的には口腔内だけに症状が見られる場合が多いが、ショック症状を起こすこともあり特に花粉症に罹患している人は注意が必要という。
「アレルギー表示」が貴重な命綱
食物アレルギーの症状としては、皮膚や粘膜、消化器や呼吸器に症状が起こるケースが多いが、最も恐ろしいのがアナフィラキシーで、全身に強いアレルギー反応が出て死に至る可能性もある。
基本的には小児に多い病気で、卵や牛乳にアレルギーがあると診断されたとしても、3歳までに診断された3人のうち2人が、12歳までに10人のうち9人が食事制限を必要としなくなっているとの報告もある。小児の場合は成長するに従って良くなっていくケースも多い。
しかし食物アレルギーに有効な治療方法はないため、予防するには原因となるアレルギー物質を避けるしかない。そうした中で、「アレルギー表示」は患者さんにとっては貴重な命綱ともいえる。
アレルギー情報をカバーできているとはいえない
現在食品衛生法によって表示義務が定められているのは「卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに」の7品目。
表示が勧められている特定原材料に準ずるものとしては「あわび・いか・いくら・さけ・さば・大豆・まつたけ・やまいも・牛肉・鶏肉・豚肉・ゼラチン・オレンジ・キウイ・くるみ・バナナ・もも・リンゴ・ごま・カシューナッツ」の20品目。
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