2050年、日本で85歳以上の女性の人口分布が一番多くなる
日本は超高齢化社会を迎えているが、2050年の日本は85歳以上の女性の人口分布が一番多くなることが予測されているという。その頃になると、病院は病気を治療するところではなく死亡診断書を書き続ける場所になるのではないかと言われているそうだ。
そのような状況の中で神奈川県ではいち早く対策を始めているという。その対策は「最先端医療と最新医療技術の追求」、そして「未病治療」という2つのアプローチから成ると黒岩氏は解説。
「最先端医療と最新医療技術の追求」は、具体的にはiPS細胞の研究や介護や介助に役立つ生活支援ロボットの研究開発、マイカルテの導入など。また、「未病治療」は「医食農同源のススメ」「運動習慣の啓蒙と奨励」「ライフスタイルの見直しの場の提供」などであるという。
健康寿命日本一を目指す
実際、神奈川県の中でも京浜臨海部は「最先端医療の総合特区」として、これまでにない医薬品や医療機器の実用化を図る等、最先端医療産業の創出に政府とともに力を入れている。
同県内には年内に「相模縦貫道路」が開通する予定で、その周辺エリアを「さがみロボット産業特区」とし、生活支援ロボットや災害支援ロボットの実用化に向けロボットの体験できるショールームもオープンする。
また神奈川県全域は全国に6つしかない国家戦略特区の1つに選ばれているが、国際的な経済活動の拠点として政府からも推進され、その戦略の肝こそが健康寿命日本一と新たな市場・産業の創出を目指す「ヘルスケア・ニューフロンティア」であるという。
1歩でも健康の方向に近づくことが未病治療
こうした取り組みは海外でも注目を集めており、黒岩氏も世界各国でその概要を講演している。この取り組みを説明するうえで重要な概念が「未病」だが、この言葉は英語にはないため「MI-BYO」で通し、今やアメリカやシンガポールなどで普及しつつあるという。
未病の概念や未病の治療という概念を説明するのは非常に難しいが、ポイントは「1歩でも健康に近づけることだ」と黒岩氏。
黒岩氏には未病治療に力を入れるきっかけとなった経験がある。それは実父が85歳の時に肝臓がんが見つかり、余命2ヶ月と宣告され、在宅介護をしたことだという。
がんは末期であったため医療機関も手を尽くせなかったが、なんとかしたいという思いから、黒岩氏はある中国医に相談した。その時に「未病から治しましょう」と、長芋を蒸したものを毎日父親に食べさせるようにいわれたという。
既に末期がんであった父親に未病治療の概念は当てはまらないと思ったが、病気であっても1歩でも健康の方向に近づくことが未病治療であることを教えられ、藁をもつかむ思いで「蒸し長芋」を父親に食べさせたという。
実は中医学では山芋を干したものは山薬という薬で、それは長芋を蒸しても同じであることが後にわかったそうだ。
・
・