医療費の増加、過去最高を11年連続で更新
医療費の増加が続いている。2013年はついに39兆円を超え、過去最高を11年連続で更新している。渡邉氏の推測では、50兆円を超える日はそう遠くないという。
高齢者ばかりが医療費を独占している現状や、不要な医療や医薬品にまで膨大なコストが投じられている可能性があることを国民一人ひとりが改めて考え直す必要があると渡邉氏は指摘する。
例えば、認知症高齢者への胃ろうなどは、生活の質を下げるだけでなく、尊厳をも損なっている場合もある。
「予防医療」と「未病医療」は似て非なるもの
近年は「予防医療」「未病医療」という言葉が国民に浸透しつつあるが、実はこの2つは似て非なるもの。「予防医療」は直線的で、西洋医療的な部分があり、「できるだけ早く治す、できるだけ早く治療する」ことを目的としている。
そのため、例えば血圧であれば基準値を厳しくすればするほどいいという方向に向い、かつては年齢+90といわれていた基準が現在は非常に厳しくなった結果、見直しの意見も出ている。
予防医療も過度になると高血圧でいえば対象患者が膨大になり、降圧剤も大量に世に出回るという結果を生んでいるのではないか。一方「未病医療」はその定義が曖昧であることが問題と渡邉氏は解説。
元気な老人になり、10兆円の医療費削減を
そこで渡邉氏は「数値」と「症状」から「未病」を考察することを薦めている。もし「数値」も「症状」も問題なしであれば「健康」。どちらか一方が異常であれば「未病医療」の対象になる。
いずれにせよ、良い生活習慣さえ心がけ実践すれば元気なまま老人になることができるし、医療費を10兆円くらいは簡単に削減できるはずだとした。
特に日本の長寿といわれる地域で食されていたものを見ると、明らかに必要な栄養素がカバーされた理想的な食事をしている。それを見習わなければならないという。
根菜類や玄米に高い抗酸化力
例えば、長寿の地域では根菜類を多く食している。実際に、ごぼうやレンコン、ナスなどは抗酸化力が突出している。これらは、漢方でも重視されており、疾病予防に効果があるといえる。
しかし近代栄養学では食物繊維しかない、栄養価の低い野菜として扱われてきた。玄米も同じである。食べにくさから敬遠されるが、玄米には高い抗酸化力があり、またその力は炊飯しても失われないという特性まで兼ね備えている、と渡邉氏は解説。
ちなみに白米には抗酸化力はほとんど見られない。明治の日本の軍医・薬剤師・医師として活躍し、「食育食養」を国民に普及することに務めた石塚左玄氏が提唱する「食養学」の正しさがまさに今、証明されてきている。
西洋の栄養学は獣医の研究がベースに
現在の栄養学は「栄養素栄養学」になっている。そもそも西洋の栄養学は獣医などの研究を元にしていて、家畜をいかに早く大きくするか、という視点から成り立っている。
これはアメリカも同様で、このような考え方では栄養学や食養生を十分に理解することはできない。
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