健食の機能性表示制度はこう利用する〜コ・メディカル産業展2014/ドラッグストア流通フェア2014
2014年9月18日、東京都立産業貿易センター浜松町で、『コ・メディカル産業展2014/ドラッグストア流通フェア2014』が開催された。 この中から、『薬局、薬店、生き残り!健食の機能性表示制度はこう利用する』(竃事法ドットコム エグゼクティブ プロデューサー 持田 騎一郎)を取り上げる。


機能性表示解禁で、規制はもっと厳しくなる

年間50回以上も薬事法や景表法に関するセミナーや講演を行うという持田氏。来年4月より解禁となる新機能性表示制度についても多くの質問が寄せられているという。

薬事法ドットコムは1995年から薬事コンサルに特化したサービスを提供している。実績は600社に及び、会員は170社を超える。やずや、悠香、新日本製薬、ライザップなどの企業へもコンサルを行っているという。

来春、機能性表示が解禁されるが、これにより規制が緩くなるという見方は誤解であり、実際は規制がもっと厳しくなると持田氏は解説する。

2014年に入ってからも薬事法違反による逮捕者は後を絶たない。また、これまで医師や病院での薬事法・景表法違反というのは摘発されにくかったが、この聖域もなくなってきているという。

医薬品通販がうまくいかない理由は「見せ方」

健康食品や医薬品業界にとって、新機能性表示と同じほどインパクトのある改正が「医薬品通販の解禁」であった。

しかし、解禁されてもうまく活用できない、医薬品通販を始めてもAmazonやケンコーコムとの価格競争に全く対応できない、店頭への集客につながらない、といった問題点が散見され、満足のいく運用が薬局薬店もできていない現状があるという。

Webで医薬品通販がうまくいかない理由は、やはり「見せ方」にあると持田氏。店頭のように商品がずらっと並んだレイアウトでは購入商品を決めていない消費者は何を買っていいかまったくわからなくなり、結局「成分名」や「効果効能」を直接検索するようになるという。

健康・美容系のキーワードは検索件数が多い

もしレジェンド的な売り上げを望むのであれば、スター選手を決める必要もある。あれもこれも売ろうとせず、1つだけスター選手を作ることでまずは年商1億円を超えること。これができれば、あっという間に3億円、10億円が見えてくると持田氏。

グーグルのキーワードプランナーを使用し、50万回以上検索されているキーワードを探してみる。するとダイエット、便秘、花粉症、ニキビ、認知症、脂肪肝、といった健康・美容系のキーワードは検索件数が非常に多くそれだけニーズがあることが推測できる。こうしたキーワードに対応するものがスター選手になる要素を持っているといえる。

ネット向きの商品に絞る

さらに商材が店販向けかネット向けかもチェックする。例えば、購入するのが躊躇われる育毛、不妊、体臭関連の商品、かさばるものや重いものはネット通販に向いているためスター選手の要素がある。

一方、アトピーや疲労関連などは薬剤師によるアドバイスが効果的で、ネットより店販に向いているためスター選手にはなれない。また価格帯が高額になればなるほどユーザーの口コミや体験談が重要となることも忘れてはならない。

これらの要素を考慮してスター選手を選ぶとなると、やはり健康食品は医薬品や医薬部外品よりもネット販売に向いているし、気に入ってもらえればリピート購入も狙える商材だと持田氏。

ハードルが下がるわけではない

しかし現状では健康食品の効果効能は謳えない。4月に新制度になっても、実はハードルが下がるわけではない。

基本的には成分のエビデンスか最終商品のエビデンスを用意しなければならないし、エビデンスには成分の作用機序、システマテック・レビュー、UMIN登録、ヒト臨床試験、査読付き論文掲載など高いハードルが設けられている。

例えば、「夜飲んで、翌朝どっさり!すっきり!」というダイエット系健康食品の表示広告は現状違法になるが、もしエビデンスがあるのならOKになる。トクホの申請から許可までには少なくとも2年はかかるといわれ、新制度では申請期間の短縮が期待されているが、最低でも9ヶ月はかかりそうだ。

現実問題として、中小やベンチャーにとって機能性表示は困難

また新制度の問題点として、薬事法も景表法もOKで完全対応できるもの、薬事法はNGだが景表法はOKといったグレーゾンが出来ることを持田氏は解説。

さらにコストのハードルもある。ヒト臨床試験をするのに1,500万円以上はかかると予測される他、システマテック・レビューも200〜300万円はかかることが推測される。

また、良い論文が見つからないリスクや、見つかったとしてもたいした効果効能が謳えないということも予測される。つまり現実問題として、中小やベンチャーにとって機能性表示はほぼ無理と考えてよい、と持田氏は指摘する。

高ニーズのダイエットや美肌商品をプロデュース

それでも、それだからこそ新制度を活かしリーガルマーケティングをすることができれば、大ヒットやレジェンド商品を作ることも夢でないし、同業他社との大きな差別化になり、一気に抜きん出ることができる。

そこで新たな機能性表示制度が求めるすべての要件、つまり成分エビデンスの用意、ヒト臨床試験の実施、査読付き論文の掲載、安全性試験の実験、消費者庁への届出、新制度に対応した機能性を明示した表示と広告、これらすべてをカバーした健康食品を薬事法ドットコムでプロデュースするという。

しかも、商品ラインナップとしてニーズの高いダイエットや抗シワ、美肌といった商品をプロデュースするという。

臨床試験まで実施した第三のスキームともいえる「新制度完全対応済み健康食品」のOEM提供をすることで、各導入店には4年で30億円を目指してもらいたいと持田氏は語る。

いずれにせよ、新制度にどう対応するかで、健康食品関連企業だけでなく、薬局薬店にも大きな差が出そうだ。


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