生体内では脳内に多く存在
ホスファチジルセリンとは、天然に存在するリン脂質の一種で、ヒトの細胞膜を構成している主要成分の1つでもあり、生体内では脳内に多く存在している。
割合としては脳内にある全リン脂質の約18%を占める。脳内では、このホスファチジルセリンがアセチルコリンやドーパミン、セロトニンといった神経伝達物質の分泌量を亢進させる働きを担う。
アメリカ食品医薬品局FDAはホスファチジルセリンに「限定的健康強調表示」を認めており、「ホスファチジルセリンの摂取は高齢者の認知機能障害のリスクを低減するかもしれない」といった内容を免責条件付きで表示することも許可されている。
アルツハイマーへの有効なアプローチに
ホスファチジルセリンの脳内神経伝達物質の分泌量亢進については、ホスファチジルセリンが食品から摂取したグルコースの取り込みを促進させることに関与しているため。
加齢とともに海馬の神経細胞が壊死し減少するが、脳内グルコースの代謝活性が起こるとそれを抑制し、記憶や学習能力の向上にもつながる。アルツハイマー型認知症の人が1日300mgを3週間連続摂取することで、記憶力の向上、ストレス耐性向上、血管老化の抑制が見られたという事例もある。
高齢化で認知症増加の問題を抱える日本人にとって、ホスファチジルセリンがアルツハイマーへの有効なアプローチ法の1つになりうるのではないかと期待が寄せられる。
美容分野の可能性なども示唆
ホスファチジルセリンはこれまで脳の中枢神経を中心に、脳機能改善や脳の血管老化防止作用などに期待されその機能性が展開されてきたが、最近の研究ではスポーツニュートリションや美容分野の展開も示唆されているという。
例えば、健常な人16人に対し、1日300mg、42日間連続摂取させたところ、ストレス反応が抑制され、精神性ストレスを緩和する作用が期待されている。
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