つまりクローン病や潰瘍性大腸炎のマウスにおいては、Th1/Th17と呼ばれる反応が亢進状態にあるということである。
またヒトの場合を確認するため、大阪大学免疫学フロンティア研究センターや大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学などと共同研究をしたところ、ヒトの腸内でもマウスと同じようなメカニズムの存在が確認されたという。
腸管粘膜、自然免疫細胞が存在
さらに、常に食事の栄養成分やさまざまな腸内細菌にさらされている腸管の粘膜には、他のリンパ組織には存在しない特有の自然免疫細胞が存在することも明らかになってきた。
例えば、大腸の上皮は胃や小腸の上皮に比べて組織層が分厚くなっている。この層はさらにアウターミューカスレイヤーとインナーミューカスレイヤーと呼ばれる層に分類される。
胃や小腸では酸などの分泌物により内容物が分化され、組織層にまで細菌が侵入することはほとんどないが、大腸ではこの分化のメカニズムが解明されていない部分が多くあるという。
lypd8の減少で炎症性腸疾患が亢進
中でも、lypd8(抗体)の減少で炎症性腸疾患が亢進することが分かっている。lypd8は大腸上皮への腸内細菌を抑制し、腸管の恒常性を維持する役割があるのではないか、ということが考えられるという。
炎症性腸疾患の病態の解明において、今後は獲得免疫系、自然免疫系に加え大腸上皮の解析が必要ではないかとした。
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