健康関連産業、真の成長分野に
未来健康共生社会研究会は2014年3月に設立。産業や社会構造の劇的な変化やグローバル化が進む中、「健康」を単に医療問題とせず、他分野にまたがる最重要研究課題としている。また、国内の健康関連産業を「真の成長分野」として事業化することを目的としている。
健康産業は安倍内閣の中でも重要な位置を占め、多くの国会議員や関連省庁が予算や企画を立案している。
今後この産業がどのような方向に向かうのか、あらかじめ予測をつけて動く必要があるが、その方向性、大きな流れの中に間違いなく「統合医療」があるというのが渥美氏の見解だ。
現代医療だけでは対処できない疾患が増加
19世紀から20世紀にかけて、近代医学は大いに進歩した。抗生物質が開発され、麻酔医学が発達し、輸血が可能になった。内科に加え、外科治療により、現代医学の地位は確固たるものとなった。
20世紀から21世紀にかけては精神医学や脳科学、心の医学にも研究が及び、産業医学や社会医学といった研究も行われるようになった。
さらに近年では医工学の進歩が目覚ましく、レントゲン、画像診断、血液分析による診断、人工臓器といった分野も飛躍的に進化している。これらの近代医療、医工学は感染症や急性疾患の治療に大きな貢献を果たしたことは間違いない。
しかし、ここにきてそうした医療では間に合わない状況や疾病が蔓延していることは否定できない、と渥美氏は指摘。特にストレスによる問題、慢性疾患、原因不明の疾病などは現代医療だけでは十分な対処ができない。そのため、伝統医療や代替医療などの需要が急速に高まっている、と解説。
新しいものが生み出る時代に突入
医者が医学部で勉強した医療を提供するだけの時代は大きく変わり、予防医学といった新しい医学が世界の至る所で誕生し始めている。それゆれ鍼灸やハーブ、漢方やアロマテラピー、ヨガや温浴、食事療法といった医療の周辺分野も医療に参加する必要に迫られている。
これは文明の衝突ともいえる、と渥美氏。東の西の価値観、キリスト教や科学中心の価値観、多神教で和の文化といった価値観が衝突し融合、そして新しいものを生み出そうとする時代に突入しているのが、まさに「今」であると渥美氏はいう。
こうした、東西、異文化の融合が避けられない状態の中、これからの医療は具体的にはどのように変化するのか。おそらくあと50年もすれば、統合医療こそ医学の本流になるであろうと渥美氏は予測する。
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